2014 Fiscal Year Research-status Report
炎症・免疫マーカーにより慢性疼痛の病態を解明し予防する
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26670309
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 和利 新潟大学, 医歯学系, 教授 (70207869)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性疼痛 / C反応性タンパク / 生活習慣 / コホート研究 / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には、村上コホート研究ベースライン調査において血清検体の提供を得た2555人の血中C反応性タンパク(CRP)の測定と調査票による慢性疼痛(6ヶ月以上続いている痛み)の有無および部位別疼痛のデータおよび生活習慣データの整理を行った。対象者の平均年齢は62.9歳(標準偏差8.2)、平均ボディーマスインデックスは23.0 kg/m2(標準偏差5.5)、男性の割合は40.5%であった。生活習慣に関しては、喫煙者の割合は12.5%、エタノール換算150g/週以上の飲酒者の割合は42.5%、一日1杯以上緑茶を飲む者の割合は72.9%、一日1杯以上コーヒーを飲む者の割合は46.9%であった。慢性疼痛の有病率は42.1%であった。部位別の慢性疼痛の有病率は、肩関節16.1%、肘関節5.9%、手関節7.9%、股関節5.2%、膝関節21.9%、足関節6.5%、頭部2.9%、頸部9.6%、背部5.7%、腰部22.6%であった。血清(-80℃凍結)を用いて、炎症・免疫マーカーである高感度CRPをラテックス免疫比濁法にて測定した。平均CRP濃度は0.080 mg/dl(標準偏差0.371)であった。さらに、CRP濃度と慢性疼痛との2変量解析を試み、記述した。慢性疼痛ありの群(n=1075)は、なしの群(n=1480)より年齢が0.9歳高かった(P=0.007)が、CRP濃度の差は0.006 mg/dl(P=0.686)で有意な差は見られなかった(P=0.007)。また生活習慣病マーカー(血中脂質、糖尿病関連検査)の検査結果も得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の計画は、「コホート研究ベースライン調査で得た血清(-80℃凍結)を用いて高感度CRPおよび生活習慣マーカー(血中脂質・耐糖能)の測定を完了し、それらのマーカーと慢性疼痛の有病状態の解析を行う」としており、多変量解析はまだ行っていないことを除けば、予定通りに行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では慢性疼痛有病群と対照群の免疫マーカー測定を予定していたが、慢性疼痛有病者が予想よりはるかに多かったため、この症例-対照研究を行うのは現実的でなくなった。むしろ、慢性疼痛を症候群であると捉え、部位別に免疫・生活習慣マーカーの特徴を解析し、慢性疼痛のサブタイプに分類することが必要である。また、このような事情で、生体マーカー測定に当たっても全検体測定を行うことが効果的である。今後は性疼痛との関連が示唆されている25-hydroxyvitamin Dの検査結果を得て、サブタイプ分類の一助とする予定である。さらに、慢性疼痛の追跡調査も同時に行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は9725円(1.25%)であり、当該年度所用額の98.75%を執行したことになるため、概ね予定通りの執行であると言えるが、資料整理を研究者自身が行ったため、謝金の額が予定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰越分は資料整理のための謝金として使用したいと考えている。
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