2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670310
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松郷 誠一 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (30148126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 知行 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (80396811)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リポ酸 / ラマンスペクトル / 抗酸化物質 / 細胞ストレス / S-S結合 / インスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は生体試料の局所的な構造解析やストレス状態などの非侵襲的解析手法としてラマンスペクトルに注目して研究を進めて来た。特にラマンスペクトルの特徴的な散乱を観測出来る結合としてタンパク質中に含まれる炭素-硫黄(C-S)結合に着目し研究を進めてきた。 炭素―硫黄結合を有するリポ酸は生体の酸化ストレスに深く関わる抗酸化物質である。リポ酸は抗酸化ネットワークの中でも強い還元力を有するので、リポ酸を通して生体の酸化ストレス状態解析が可能になると考えた。そこでリポ酸の挙動を高感度で調べるために、昨年よりリポ酸をモデル化合物として研究を開始した。ラマンスペクトル散乱によりリポ酸(C-S, S-S)に由来する特徴的なスペクトルが630, 675, 510 cm-1近傍に観測された。これらの特徴的な波数は糖環状体である各種シクロデキストリン(CD)に取込ませた形(包接体)で測定した時には、その散乱強度は著しく低下した。包接体の細部構造を明らかにするために、α―CDとリポ酸の結晶を用いて、固相状態における分子間相互作用を固体NMRスペクトル解析などにより明らかにした。CDとリポ酸の相互作用様式はCDの環サイズの違いにより大きく異なることが明らかになった。相互作用の違いが観測されるスペクトルの差に大きく関わっており、生体材料の解析を行なう上で重要な知見になると思われる。 次に、我々は分子内にS-S結合を有するインスリンをモデル化合物としてラマンスペクトル解析を行なった。顕微ラマン測定ではインスリンに特徴的なラマンスペクトルが観測できた。一方、インスリンを金属基板(担体)上に装着させる表面増強ラマンスペクトル(SERS)法によるスペクトル測定等においては、顕微スペクトルで観測されたような鮮明なスペクトルは得られなかった。今後、生体材料の担体表面への装着効率の改善等を行なっていく必要がある。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Structural Analysis of Crystalline R(+)-Alpha-Lipoic Acid –2015
Author(s)
Alpha-Cyclodextrin Complex based on Microscopic and Spectroscopic Studies Naoko Ikuta, Takatsugu Endo, Shota Hosomi, Keita Setou, Shiori Tanaka, Noriko Ogawa, Hiromitsu Yamamoto, Tomoyuki Mizukami, Shoji Arai, Masayuki Okuno, Kenji Takahashi, Keiji Terao, and Seiichi Matsugo
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Journal Title
International Journal of Molecular Sciences
Volume: 16
Pages: 24614-24628
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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