2014 Fiscal Year Research-status Report
血清アルブミンを用いた生体のredox評価法は生活習慣病のリスク指標となりうるか
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26670312
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 高明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00195900)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 社会医学 / 動脈硬化 / 酸化還元 / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道農村地区で8月下旬に実施された町民ドック参加者のうち、274人(男性119人、女性155人、平均年齢65.2歳)から同意を得て残余血清の提供を受け、HPLC-post column BCG法による還元型アルブミン分画(HMA)と酸化型アルブミン分画(HNA)の分離を行った。血清アルブミンのredox指標として、両分画総和に占める還元型の割合であるf(HMA)を用いた。動脈硬化指標としては頸動脈での超音波測定により、左右総頚動脈での内膜中膜肥厚(IMT)の平均値を指標に用いた。統計解析としては、IMTを従属変数とする一般線形回帰モデルと、プラーク形成を結果変数とする線型ロジスティック回帰モデルをあてはめた。いずれのモデルでも年齢、性別、血清HDLCコレステロール、LDLCコレステロール、トリグリセライド、平均血圧、喫煙習慣、飲酒習慣、および治療中の生活習慣病の有無を補正要因として入力した。 その結果、f(HMA)とIMTの間には有意にはいたらないが負の関連性が示された(p=0.09)。またプラーク形成の有無とf(HMA)の間には有意な関連性が認められ、f(HMA)の最小値から最大値に変動に対するオッズ比は0.10(95%CI:0.01-0.66)であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回用いた生活習慣病リスクの指標は頸動脈での内膜中膜肥厚とプラーク形成の有無のみである。IMTは動脈硬化指標としては確立された指標として広く用いられているが、生活習慣病の予測因子としてはそれ以外に多くの項目が存在し、また酸化還元状態を反映する指標としてもさまざまなマーカーが報告されている。今回の結果のみでは、血清アルブミンの予測因子としての独立した意義を示唆するには、エビデンスの蓄積が不足していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては測定対象数を追加し、結果に再現性が得られることを確認する。また酸化ストレス指標として、血清中の微量栄養素(カロテノイドなど)や脂肪酸分画(n-3脂肪酸分画など)の分析を行い、血清アルブミンから評価されるredox状態との関連性を明らかにする。また本研究フィールドでは、一般的な生活習慣病リスクのみでなく、腎機能(eGFR)、認知機能、運動機能等の測定も実施されているので、それらの結果との関連性も明らかにする。
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Causes of Carryover |
当該年度においては既存の試薬や消耗品で測定をまかなうことができたことと、当初予定していた分析に遅れが生じたために、支出額が予定より過少となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は昨年度同様にフィールド調査による検体収集と分析を実施するとともに、新たな分析項目を追加する。
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