2014 Fiscal Year Research-status Report
パッシブ型ラドン・トロン子孫核種弁別測定装置は人々を肺がんのリスクから護る
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26670324
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
床次 眞司 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 教授 (80247254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 線量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
国民の関心が高まっている低線量放射線による人体への健康影響を考えるとき、自然放射線から受ける被ばくは予期しないほど大きいものとなっている。特にアルファ線による内部被ばくにより、一般公衆が受ける放射線被ばく線量は世界平均で年間1ミリシーベルトを超える。この線量評価に用いている手法は、ラドンガス濃度を計測し、平衡ファクタと呼ばれる定数を乗じて直接の被ばくの原因となる子孫核種濃度を算出して線量を導き出す。平衡ファクタは環境条件によって大きく変わる可能性があることから、直接線量を計測する手法が最も望ましい。本研究はより精度の高い被ばく線量評価法を確立することを目的とした挑戦的な課題である。今年度は、大気中に浮遊している超微粒子(エアロゾル)の物質表面への沈着を利用した簡便で小型のラドン子孫核種線量計の性能を評価するため、様々な環境条件を制御できる放射性エアロゾルチェンバーの製作に取り掛かった。ランタンマントルを用いた放射性希ガスの発生システムを構築し、発生量を制御するためのシステムを考案した。さらに、対象となる放射性核種のアルファ線を選択的に検出できるように、エネルギー吸収材の厚さについて検討した。理論上はエネルギーの異なる3種のアルファ線を弁別検出できる厚さを求めたので、次年度には実験においてその有効性を確認する。また、エアロゾルばく露システムでは、様々な粒子径の発生実験を行い粒子径の制御システムを完成させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パッシブ型ラドン子孫核種線量計の開発は世界的に見ても類を見ない初めての試みである。この開発の成功は、線量計を校正するばく露システムの完成にかかっている。今年度は放射性希ガスの安定的発生・制御システムを完成させた。次年度に向け良い材料がそろったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は粒子径の制御システムを完成させることに全力を注ぐ。大気中に存在しているエアロゾルの粒子径は広い範囲に分布していることから、すべての粒子径をカバーできる発生方法とともに、安定的に供給させる方法を確立させる。ばく露システムの完成後は、試作した線量計の性能評価を行い、実環境において実用性を検討する。
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Causes of Carryover |
既存の装置ではなく、全く新たに試作しなければならなかったので、部品の調達などに時間を要したことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現時点では部品の調達も完了しており、次年度内に試作品を完成させる予定である。
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Research Products
(2 results)