2015 Fiscal Year Research-status Report
周期性四肢疼痛に関わる新規遺伝子の同定と予防及び創薬への応用
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26670330
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 昭夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50124574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 勉 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20270845)
原田 浩二 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80452340)
人見 敏明 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (90405275) [Withdrawn]
小林 果 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70542091) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 分子疫学 / 痛みの遺伝学 / 創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、既報の慢性疼痛家系と明らかに異なる遺伝性慢性疼痛 (①乳児期からはじまり青年期に寛解する、②周期的に、③四肢大関節に痛みを伴い、④寒冷曝露で悪化し温熱曝露で改善し、⑤他合併症を伴わず、⑥炎症性鎮痛剤(NSAIDs)が症状を軽減する) をしめし、その表現型を常染色体優性遺伝形式で伝える家系4家系を見出した。これら家系に、次世代シークエンサーと連鎖解析を併用し遺伝子を同定するとともに、Knock-in mouseを作成し機能解析を行う。さらに高齢者での痛みの寄与についても検討する。これらを通じて、高齢者の疼痛の新たな予防とtranslational research に道を開く。 上記を目的に、本年度は下記の通り研究を進めた。 1)遺伝解析:4世代以上にわたり上記①~⑥の特徴を有する疼痛家系参加者28名の内、発症者18名の参加において遺伝解析を行った。その結果、遺伝子Xを得た。その変異を、一般人口150名で調べたところ、変異は認めらなかった。 2)臨床的特徴付け:予想される遺伝子の神経組織での分布を参考に、種々の臨床的特徴付けを行った。痛み部位に皮膚温の変化が認められ、寒冷曝露で誘発され、成人期に寛解した。消化器症状は明確ではない。 3)Knock-in mouse:同定された遺伝子のマウス相同遺伝子を見出し、ヒトに相同な部位に変異を入れる。ヒトの変異に相同な変異を導入したマウスを得た。既に交配をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝解析、Knock-in mouseについては順調に推移しているが、臨床的特徴付けについては、神経伝達速度などの評価がまだなされておらず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.家系解析: 以前の症状と同様の乳幼児期から思春期までの痛みを呈する家系を秋田県内の小児科医に問い合わせたところさらに2家系が見出された。この家系についてNav1.9の変異を探索したところ、どちらの家系も発症者にはR222H変異が認められ家系内で完全に形質は変異で分離していた。6家系を通じ、R222H変異を有する患者では、乳幼児期から下肢を中心に定期的に寒冷曝露により痛みを生じ思春期には緩解していた。また1家系R222Sを有する家系では、症状はほぼ同様であったが、頭痛が新春期以降も継続していた。 2.行動実験: マウスのR222Sを導入したKnock-in マウスを用い、若年例8-9週令および成熟期30週令で痛みの感受性試験を行った。その結果、若年齢および成熟期とも疼痛刺激に過敏性を示した。動物では、思春期以降痛みは改善しなかった。 3.ND7/23を用いた電気整理: R222S, R222HをND7/23に発現させVoltage clamp を行いActivationの観察によりゲート特性を観察したが、有意な所見は認められなかった。 4.Knock-in mouseのDorsal Route Gangalion(DRG): R222SをKnock-in したマウスのDRGを用い、Current clamp を行った。その結果、Knock-inマウスでは、有意に発火が亢進していた。
以上の研究から、家族性の乳児期発症の周期的疼痛遺伝子として、Nav1.9を同定した。マウスとヒトではともに痛みへの過敏性を示したが、マウスでは、痛覚過敏性は加齢によって改善しない。今後、種差に着目してそのメカニズムの解明が望まれる。
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Causes of Carryover |
全体の実施計画に影響しない程度の少額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残額は少額であり、計画にそって次年度経費とあわせ使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Infantile pain episodes associated with novel Nav1.9 mutations in familial episodic pain syndrome in Japanese families2016
Author(s)
Hiroko Okuda, Atsuko Noguchi, Hatasu Kobayashi, Daiki Kondo, Kouji H.Harada, Shohab Youssefian, Hirotomo Shioi, Risako kabata, Yuki Domon,Kazufumi Kubota, Yutaka Kitano, Yasunori Takayama, Toshiaki Hitomi,Kousaku Ohno, Yoshiaki Saito, Takeshi Asano, Makoto Tominaga, Tsutomu Takahashi, and Akio Koizumi.
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Journal Title
PLOS ONE
Volume: 11
Pages: e0154827
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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