2014 Fiscal Year Research-status Report
新エネルギー開発に伴うヒ素汚染防止への無毒化処理法と安全性評価の確立
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26670339
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒ素 / 無毒化処理 / アルセノベタイン / 地熱発電 / シェルガス / シェルオイル / 環境保全 / 新エネルギー開発支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化対策などから新たなエネルギー源が求められ、シェールオイルやシェールガス、地熱発電などが期待されている。しかし、シェールオイルやシェールガスの掘削、地熱発電に使用する地熱水には高濃度なヒ素が含まれることから、さらなる社会への普及には環境汚染対策が求められる。無機ヒ素は強い発がん性物質であり、これまでに様々な原因から急性や慢性ヒ素中毒も世界各地で発生した。現在、アジアや中南米諸国には自然由来の無機ヒ素により生活水が汚染され、WHOは約5,000万人に慢性ヒ素中毒が発生したと報告している。本研究は、酸化チタン光触媒システムによる無機ヒ素の無毒化処理技術を検証し、ヒ素による健康障害の発生に対する予防や改善の対策支援としての意義を検証する。また、人工的に無毒化されたヒ素化合物の安全性に関する基礎的な研究を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2014年9月末から、公的な理由により研究活動を約半年間停止したことから、当該年度の研究成果獲得に影響した。研究の実験的な手技は停止したものの、研究の発展的な思考は多様性を持って持続していたことから、また、国内外の研究の動向を調査していた。
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Strategy for Future Research Activity |
無機ヒ素汚染している井戸水や土壌、高濃度な無機ヒ素を含有する温泉水(地熱発電と同様)やシェールオイル採掘廃水などを研究対象試料として、強い毒性がある無機ヒ素を無毒化処理する技術や無毒化生成物に対する安全性の検証を試みる。 試験対象物は温泉水の原泉、慢性ヒ素中毒発生地域の井戸水や土壌は中国内蒙古自治区包頭市の試料、掘削廃水は国内事業社と交渉し獲得してそれぞれを用いる。これらの試験試料からの無機ヒ素の捕集は凝固剤、吸着剤、膜などを検討し、それらの手法を組み合わせて無機ヒ素を濃縮し無毒化処理する。無機ヒ素の無毒化は酸化チタン光触媒システムを用いる。 人工合成したAsBやトリメチルアルシンオキサイド(TMAO;中間物質)について、これらのヒ素化合物に対して、細胞毒性試験はHeLa細胞(ヒト子宮頸がん細胞)とHL-60細胞(ヒト急性前骨髄性白血病細胞)を用い、一般毒性(CCK-8法)、アポトーシス試験、DNA損傷などを組み合わせて評価する。 さらに、無機ヒ素の無毒化処理の過程で混入が推測される有害元素(水銀、鉛、錫等)に対するメチル化の有無を検証する。検証が必要な背景は、水銀は水俣病の原因物質であるメチル水銀、また、鉛は有機鉛(メチル化鉛化合物)、これらの有機金属は過去に重大な中毒事例を発症させた経緯がある。 以上の結果を総合的に評価して、無機ヒ素の無害化処理は、ヒ素による環境汚染および健康障害の予防や軽減に寄与することを科学的に検証し、新たなエネルギー開発などの支援や普及に努める。
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Causes of Carryover |
2014年9月末から、公的な理由により研究活動を約半年間停止したことが主な原因であり理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は研究の再開が可能であり、物品費、国内学会旅費、その他(主に翻訳費)に経費を使用する。
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