2015 Fiscal Year Annual Research Report
新エネルギー開発に伴うヒ素汚染防止への無毒化処理法と安全性評価の確立
Project/Area Number |
26670339
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
山内 博 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90081661)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒ素 / 無毒化システム / アルセノベタイン / シェールオイル / 地熱発電 / ヒ素化学兵器 / ヒ素半導体 / 銅製錬事業 |
Outline of Annual Research Achievements |
新たなエネルギー源として注目されているシェールオイルやシェールガス、地熱発電などが国際社会で広く実用化と推進されている。一方、掘削から発生する廃水にはヒ素など有害元素が含まれ、環境汚染対策の必要性が求めらているが、効果的な思考や技術が存在していなかった。本研究は、酸化チタン光触媒システムによる無機ヒ素の無毒化処理技術の可能性と実用化について検討を試みた。無機ヒ素の想定する無毒化物は、魚介類などに高濃度に含有しているアルセノベタイン(AsB)で、人は魚介類から大量のAsBを連続摂取しても生体影響はなく、動物での毒性試験からも無毒と判断され、さらに推定の半致死量は10g/kgで、三酸化ヒ素に比較して1/300の毒性である。 酸化チタン光触媒、酢酸、光照射の組み合わせにより、無機ヒ素はAsBに変換されることを確認した。さらに、人及び動植物で確認されている無機ヒ素の代謝物であるモノメチルヒ素やジメチルヒ素などもAsBに変換できることを確認した。これらの人工的に合成したAsBについて細胞毒性試験を実施した結果、従来のAsBに関する無毒結果を支持することも明らかにした。 新たな無機ヒ素の無毒化処理システムは、無機ヒ素の無毒化処理対象物が土壌、汚染水、ヒ素含有物など幅広く対応が可能であり、処理時間も短時間であり、処理物をピンポイントで無毒化できる可能性を持っている。現在の研究室レベルの研究成果から、新エネルギー開発からの環境汚染対策、ヒ素化合物半導体のリサイクル、非鉄製錬や精錬事業、ヒ素化学兵器などで問題となる無機ヒ素の無毒化に貢献や応用が可能である新たな技術であると考えている。
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Research Products
(2 results)