2015 Fiscal Year Annual Research Report
ナノファイバーのインフラマゾーム形成機構と毒性評価に関する研究
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26670341
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
平野 靖史郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 室長 (20150162)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 粒子状物質 / マクロファージ / 貪食 / ピノサイトーシス / インフラマゾーム |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子状物質とエンドトキシンとの複合曝露が、インフラマゾームを介したサイトカイン産生に及ぼす影響について調べることを目的とし、J774.1細胞に、繊維状二酸化チタン粒子(FTiO2)、リポポリサッカライド(LPS)、あるいは両者を添加した。培養上清を抗体アレイ法やELISA法によるサイトカインの定量に、細胞はカスパーゼ1活性やRT-PCR法によるサイトカインmRNA発現量の測定に供した。 また、IL-1betaの産生に及ぼすカスパーゼ阻害剤の効果についても調べた。比較用粒子としてリン酸3カルシウム(TCP)を用いた。 LPSを曝露した細胞では、IL-1betaの他G-CSF, GM-CSF, IL-6の産生が顕著に上昇したが、FTiO2との同時曝露により相乗効果がみられたのは、IL-1betaのみであった。細胞をLPSで前処理した後に-TiO2に曝露した場合には、このような相乗的効果は認められなかった。また、TCPも同様にLPSとの相乗的効果を示した。IL-1betaのmRNA発現量はLPSとF-TiO2との同時曝露により相乗的に増加したが、この効果はIL-6 mRNAについても見られた。一方、LPSやF-TiO2は細胞内カスパーゼ1の活性に影響を及ぼさなかったことから、J774.1細胞におけるLPSとF-TiO2との複合曝露によるIL-1betaの産生上昇は、LPSのプライミング効果というよりは、転写活性から成熟IL-1betaの分泌にわたる一連の効果によるものであると考えている。また、J774.1細胞のリソゾームの機能を低下させ、LC3-Iとその脂質付加体であるLC3-II, ならびにオートファジー基質であるp62/SQSTM1とそのリン酸化体の量的変化をwestern blotting法により調べたところ、炭酸アンモニウム、bafilomycin、chloroquineでリソゾーム機能を低下させた細胞においては、LC3量とともにLC3-II/LC3-I比が上昇し、さらに血清非存在下ではリン酸化p62/SQSTM1(Ser351)量も顕著に増加していることがwestern blotting の結果から明らかとなった。
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