2015 Fiscal Year Research-status Report
曝露評価に活用できる食事からのネオニコチノイド系殺虫剤の高感度系統分析法の開発
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26670343
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Research Institution | Aichi Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
渡邉 美奈恵 愛知県衛生研究所, その他部局等, 研究員 (90525768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 英二 愛知県衛生研究所, その他部局等, 研究員 (90450866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 食品衛生 / ネオニコチノイド系殺虫剤 / 食品分析 / 食事 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネオニコチノイド系殺虫剤(NEO)は、農業だけでなく日用品などにも幅広く使用されている生活に密着した化学物質の一つである。近年、ミツバチ大量死の原因の一つではないか注目され、最近では、有機リン系殺虫剤による曝露と子供の注意欠陥多動性障害との関連性が報告されたことから、類似の作用機序をもつNEOについても子供への健康影響が懸念されている。未だ発展途上である個人レベルでの曝露評価システムを構築するためには、NEO曝露を迅速かつ精密に測定できる分析法の開発が必要不可欠である。そこで本研究では、様々な食品が混在した食事からの摂取状況の把握、曝露評価に活用できるNEO及び代謝物の高感度系統分析法の構築を第一目的とした。平成26年度は、アセタミプリド始め10種NEO及び5種代謝物を対象に、それらの高感度分析を可能とする測定機器としてLC-MS/MSを選択し、その測定条件を確立した。また、様々な食品が混在した弁当類を試料として前処理法を検討した。その結果、試料を均一に粉砕する方法としてはドライアイスを用いる凍結粉砕法が、また、親化合物だけでなく親水性の高い代謝物も含めて効率よく抽出できる方法としては、酢酸酸性下でn-ヘキサン及びアセトニトリルを用いたホモジナイズ抽出法が有効であった。さらに、測定を妨害する夾雑物の効果的な除去方法としては、ゲル浸透クロマトグラフィー及びミニカラムを用いた固相抽出法を組み合わせた精製法が有効であった。平成27年度は、構築した分析法について、厚生労働省から通知されている残留農薬等試験法の妥当性評価ガイドラインに従って、市販の弁当を試料とした妥当性評価(1日2併行で5日間の枝分かれ試験)を実施した。その結果、試料中濃度 0.01 μg/g において、真度(回収率)81.7~97.5%、併行精度2.0~6.3%、室内精度3.1~10.5%と、すべての成分においてガイドラインにおける目標値を満たすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
厚生労働省から通知されている農薬等分析法の妥当性評価ガイドラインに従って本分析法を評価し、選択性、真度、併行精度及び室内精度が目標値に適合していることが確認できたことから、摂取状況を個別に把握、評価する陰膳調査が実施可能となった。また、本系統分析法を応用した農産物及びそれらの加工食品におけるNEO及び代謝物の残留実態調査も併行して実施しており、これらの結果も加味することで、新たな曝露評価法としての活用が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
陰膳調査を行い、その摂取状況を個別に把握、評価し、その調査結果を基に個人レベルにおける曝露評価法としての有効性について検証する。
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Causes of Carryover |
開発した試験法の妥当性評価が順調に進み、再検討する必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実態調査及び陰膳調査の実施件数を増やす予定である。
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