2014 Fiscal Year Research-status Report
興奮性譫妄による急死の解明に関する分子病態学的研究
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26670354
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舟山 眞人 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40190128)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 興奮性譫妄 / ストレス負荷 / アルコール摂取 / トレッドミル / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はSDラットを使用し、アルコール摂取・トレッドミルでの運動・2kgの水袋での圧迫と抑制を使用することで興奮性譫妄の症例にみられる状況を再現し、ストレス負荷によるmicroRNA発現の差を検討する実験を行った。このとき運動や圧迫などのストレス因子をそれぞれ20分の群と90分の群に分けることで、ストレス強度による違いも検討した。再現実験直後に採取した血清からtotal RNAを抽出し、これを東レ株式会社に依頼してマイクロアレイを行いmicroRNAの変動について網羅的検索を行った。その結果、複数のmicroRNAで発現量の変動がみとめられたため、特に変動の大きかった8種類のmicroRNAについて個別にreal-time PCRで発現量の変化を確認した。 Real-time PCRの結果から、アルコール摂取後のトレッドミル運動を20分行う群 とその後さらに圧迫を20分行う群では、血清中のmiR-199a発現量が4~9倍程度まで上昇することが分かった。同様にアルコール摂取後の90分間のトレッドミル運動や圧迫によって、血清中のmiR-1, -24a, -133a/bがそれぞれ30倍, 5倍, 18倍, 21倍以上の発現量増加がみとめられた。一方でmiR-208, -212, -296は発現量の有意な変化をみとめなかった。これらの結果から、身体的ストレスが特定のmicroRNA発現を変動させることおよびストレス負荷の程度によって変動するmicroRNAの種類とその変動の程度が異なることが分かり、これらはストレス負荷の指標となりうることが示された。また今回の血清に関する研究ではトレッドミルの運動群と運動後の水袋による圧迫群との間でmicroRNA発現に有意な差はみとめられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレス刺激とmicroRNA発現量の間に差がみられるか否かが本研究の主題である。そして当初企画したストレス刺激によって、複数のmicroRNA発現量の上昇が得られた。一方で、ストレス関連のmicroRNAの中にも変動を来さないものもあり、ストレス負荷の違いによって発現そのものにも違いがあることが判明した。これは平成26年度の目的であるストレスの指標となるmicroRNAを見いだす、という計画を達成できたことになる。前年度は、次のステップで次世代シークエンサを使った解析を目指したが、大学共同研究施設の同機器の設置が遅れた関係で、(1)までの評価は残念ながらでできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、次世代シークエンサーを使用した計画を立てており、機器の導入が順調に進行すれば平成27年度内には結果が得られる予定である。またmicroRNA発現量は血液・臓器間で差がある可能性がある。特に興奮性譫妄は心臓負荷が原因の一つと考えられており、前年度に同時に採取したラット心臓試料についても、血清同様の発現解析を試みる予定である。
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[Presentation] Acute physical and restraint stress increases miR-16 expression in rat hearts.2014
Author(s)
Hosoya T, Aramaki T, Ikeda T, Igari U, Hayashizak Y, Ohuchi T, Sakai J, Usui K, Hashiyada M, Funayama M.
Organizer
Student Poster Forum. The 98th Congress of the Japanese Society of Legal Medicine. June 16-20, Fukuoka, Japan.
Place of Presentation
Fukuoka (Fukuoka International Congress Center)
Year and Date
2014-06-16 – 2014-06-20