2014 Fiscal Year Research-status Report
薬物及び低温曝露の脂肪組織における各種細胞に対する影響
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26670360
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
磯部 一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (30315907)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / 薬物 / 低温傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)脂肪細胞の培養系の確立:マウスの前駆脂肪細胞である、3T3-L1細胞株をATCCより入手した。この細胞は3T3線維芽細胞より株化された細胞で、凍結細胞を解凍後、線維芽細胞の形質を示す細胞をいくつかの方法で刺激すると、細胞質に脂肪滴を有するなど、脂肪細胞の形質を示すようになるとされている。今回入手した細胞を培養したところ、線維芽細胞の形質を示す細胞の増殖は良好であったが、細胞刺激による脂肪細胞への分化はあまり安定せず、脂肪細胞に分化した細胞を薬物等で刺激する実験を安定した状態で行える段階まで、細胞培養条件を確立することができなかった。27年度には引き続きこの細胞を用いた実験を計画しているので、安定した脂肪細胞の形質を持つ培養細胞実験系の確立を達成したいと考えている。 (2)内因性カンナビノイド関連遺伝子発現およびCB1タンパク質発現の検討:各種サイトカイン・ケモカイン・アディポカイン等の脂肪細胞及びマクロファージでの発現状態を検討する予定であったが、上述のようにこれらの培養細胞系が26年度中に確立できなかったため、当教室でこれまで解析経験のある内因性カンナビノイド関連因子の解析を平行して行うこととした。使用予定の脂肪細胞やマクロファージがマウス由来であるため、これまでの研究で得られた知見と関連づけて、マウスの神経細胞系細胞株であるNeuro2a細胞を用い、文献等を参考にPCRプライマーを構築してRT-PCRを試みた。その結果、予想されるサイズのプロダクトがほぼシングルバンドとして確認され、リアルタイムPCRでのmelting curveでもシングルピークが得られた。このことから、マウス由来の脂肪細胞株が安定的に培養できれば、遺伝子発現解析は困難なく遂行できる準備が整った。一方CB1タンパク質に対する抗体を入手してウェスタンブロットを行ったが、これまでに得られた結果ではシグナルが極めて弱く、さらに実験条件の検討が必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度は脂肪細胞及びマクロファージの細胞株を入手し、これを用いた細胞培養実験系を確立して、向精神薬や低温曝露による、サイトカイン系性活性物質などの発現変化を解析する予定であったが、脂肪細胞を安定的に分化させ、各種刺激実験に使用できる培養実験系を確立できなかったために実験を進展させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪細胞及びマクロファージの細胞株の培養系安定化を早急に達成できるように、培養条件や培養プレートのコーティングなどを検討する。また、今回入手した細胞株とは別種の細胞株の使用も検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度の計画であった培養脂肪細胞を用いた研究が、脂肪細胞の安定した培養系が確立できなかったため、予定していたウェスタンブロット実験やリアルタイムPCR等の実験を十分に遂行することができず、それらの経費が残り、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まず脂肪細胞やマクロファージの培養実験系を安定的に確立するための実験に経費を使用し、種々の培養条件を試みていく方針である。また、必要に応じて他の細胞株の入手も検討する。その上でタンパク発現・遺伝子発現等の実験の計画を改めて確認し、それらの実験のために次年度使用額を使用させていただきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)