2015 Fiscal Year Research-status Report
老化による血管内皮障害に関連する新規ユビキチン系分子の探索及び臨床応用への可能性
Project/Area Number |
26670365
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樂木 宏実 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252679)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中神 啓徳 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座教授 (20325369)
鷹見 洋一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90621756)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 老化 / 血管内皮 / 酸化ストレス / ユビキチンシステム / 遺伝子機能スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加齢性疾患の予後を規定する血管内皮障害を鋭敏に反映するバイオマーカーや創薬標的分子を血管内皮におけるユビキチン系関連分子に焦点を絞り探索、機能解析し、更には確かな情報を有する疫学研究を用いて臨床応用の可能性を検証することを目的とする。 前年度のスクリーニングで用いたHUVECのcDNAライブラリーは質が不良であったため、前述の目的に沿う候補遺伝子を得ることが出来ず、市販されているHUVECのcDNAライブラリーを用いて再度、遺伝子機能スクリーニングを行うこととした。同時に、前回のスクリーニングで用いた半定量的β-gal活性の測定キットは血管内皮細胞における過酸化水素による細胞老化(SIPS)に対する感度が低いため、より細胞老化またはそれに関連する現象をより鋭敏に繁栄する測定系を検討することとした。その結果、 酸化ストレスマーカー8-Isoprostaneが感度良く過酸化水素による刺激に反応することを確認し、老化酸化ストレス説に基づきこの測定系により新規老化関連分子をスクリーニングすることとした。SIRT1活性の測定キットによる老化関連候補遺伝子のスクリーニングも検討したが、細胞溶解液を用いての簡便な測定は不可能であった。 実際には、HUVECのcDNAライブラリーをHVJ-Eベクターを用いてBHK細胞に遺伝子導入し、そのconditioned mediumを過酸化水素で刺激したヒト線維芽細胞に添加し、8-isoprostaneを測定した。同時に遺伝子導入を行ったBHK細胞にも過酸化水素を添加し、8-isoprostaneを測定した。つまり、前者にて老化に関連する液性因子、後者で内在性因子を機能スクリーニングすることを考えた。現在、当初の目的に沿う液性因子を検索するために本実験により酸化ストレスを抑制したconditioned mediumを得たBHK細胞より遺伝子導入したプラスミドを回収し、挿入されている遺伝子のシークエンスを行い、2次スクリーニングを行う準備をしている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
用いたcDNAライブラリーの質が不良であったため、候補遺伝子が得られなかったため。また、スクリーニングで用いる細胞老化に関連するより感度の良い測定系の再検討を行っていたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで用いていたcDNAライブラリーの質が不良であったため、cDNA全長が存在する発現ベクターを多く含む信頼性の高いcDNAライブラリーを用いることで確実になるべく多くの候補遺伝子を得るようにする。また、遺伝子機能スクリーニング後に解析対象とする遺伝子の幅を広げるために、前述の如く液性分子のみならず内在性分子についても2次スクリーニングに進めることが出来るように1次スクリーニングの方法を変更した。しかし、当初の予定通り、老化に関連するユビキチン系関連液性分子を優先的に解析対象とし、発現調節機構、機能解析、遺伝子改変マウスの作成、更には臨床サンプルを用いた老化関連疾患との関連の検討を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当初の予定では今年度に遺伝子機能スクリーニングより解析対象とする分子を決定し、更なる基礎的、臨床的解析へと進めていく予定であったが、用いたcDNAライブラリーの質の不良や用いた測定系の感度の低さもあり、現在、その改善を計り、スクリーニングを再度施行し、候補遺伝子を検討中である。従って、当初、本年度で使用予定であった基礎的、臨床的機能解析で使用予定であった研究費が次年度使用となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、現行の遺伝子機能スクリーニングによりなるべく早期に解析対象分子を決定するが、それに際しては前述の如く、老化に関連するユビキチン系関連液性分子を最優先とする。繰り越した研究費はその解析対象分子の発現調節機構、機能解析の詳細な検討のために使用する予定である。また、可能であれば遺伝子改変マウスの作成や臨床サンプルを用いた老化関連疾患との関連の検討の準備にも当てたいと考えている。
|