2014 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア品質管理に関連した分泌型microRNAの探索と機能解析
Project/Area Number |
26670374
|
Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Tokushima National Hospital |
Principal Investigator |
三ツ井 貴夫 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (80294726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川村 和之 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (10450959)
黒田 由紀子 独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (70398014)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | microRNA / 分泌型 / ミトファジー / パーキン / ミトコンドリア / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーは有害ストレスに対しておこる細胞の防御反応である。近年、ミトコンドリアのオートファジー(ミトファジー)においてはパーキンが中心的な働きをすることで、ミトコンドリアの品質管理が行われていることが注目されている。我々は従来からパーキンとミトコンドリアの関連に関する研究を行っており、パーキンが抗アポトーシス機能を有することや、最近にはパーキンがミトコンドリアにおいてmicroRNAと結合していることを見出した。これらの知見をうけ、本研究ではミトファジーやアポトーシスの際におこる分子メカニズムを、microRNAに焦点をあて、細胞傷害性のストレス環境、とくにミトファジーやアポトーシスの際におこる細胞内microRNAおよび分泌型microRNAの反応性変化ならびに細胞内カスケードに対する影響を探索する。さらに、ミトファジーについてはパーキンの関与がmicroRNAにどのような影響を与えているのかについて検討する。 具体的には、ミトファジーやアポトーシスの際にmicroRNAの細胞内分布がどのように変化するのか、さらに分泌型microRNAが変化するか否かをmicroRNAアレイを用いて検討する。材料としては神経系培養細胞SH-SY5Yを用い、分泌型microRNAに関してはクローニングによりそれを同定する。またミトファジーに関しては、パーキンの存在がそれらにどのような影響を与えているのか否かを、パーキンKOマウスMEF、PARK2患者皮膚fibroblast細胞を用いて、野生型との比較の中で明らかにする。さらに孤発性パーキンソン病、PARK2を含む家族性パーキンソン病患者の血漿や脳脊髄液において同様のmicroRNAが病態と関与しているか否かをmicroRNAアレイおよびRT-PCRを用い、健常者と比較することで検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はDrosha複合体パーキンとの関連を免疫沈降法で検討した。方法は、培養神経細胞SH-SY5Yを核・ミトコンドリア分画に分離し、おのおのを可溶化したのち、抗パーキン抗体(PRK8)を用いて免疫沈降を行った。その結果、ミトコンドリア分画においてもDrosha蛋白が検出された。さらに、パーキンに結合したDroshaが核分画およびミトコンドリア分画で検出された。この結果は、ミトコンドリアにおいてもpri-microRNAが存在し、Droshaの関与したmiicroRNAプロセッシングが起こっている可能性を示唆している。さらに、パーキンはDrosha複合体に結合し、核のみならずミトコンドリアにおいても、そのプロセッシングを担っている可能性を示すものである。さらに我々はミトコンドリアおよび核分画においてパーキンに結合しているmicroRNAのクローニングを開始した。細胞をUV-クロスリンク処理したのち、可溶化したそれぞれの分画に抗パーキン抗体(PRK8)で免疫沈降を行い、沈降物よりmicroRNAを抽出し、クローニングを行った。その結果、ミトコンドリアおよび核分画において数種類のmicroRNAが同定できた。その中で、最も恒常的にパーキンと結合していたのはmiR-132であった。パーキンはミトファジーにおいても心的役割を果たすと考えられていること、パーキンが抗アポトーシス作用を有することから、本研究で我々はミトファジーの際におこるmicroRNAの挙動を解析している。そして、microRNAがエキソソームに封入され、細胞外に分泌されるものがあるか否かについて現在検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年にはミトファジー誘発培養神経細胞におけるmicroRNAの解析をおもに行った。具体的には培養神経細胞SHSY5YにCCCPを添加し、ミトファジーを誘発させ、細胞内(RNA分画, エキソソーム)および細胞外エキソソームにおいてmicroRNAアレイ分析を行う。さらに細胞内エキソソームおよび細胞外エキソソームにおいてはクローニングによりmicroRNAを同定する。以上の結果がCCCP処理をしていない細胞の場合とどのように異なるのかを検討する。また、分泌型microRNAはAgo2を含むRISC複合体と結合した状態で存在しうることが知られている(PNAS 108;5003-5008, 2011)ため、エキソソームにおいてRISC複合体が存在するか否か、存在した場合にはユビキチン化されているか否かを検討する。もし、後者が事実なら、パーキンによりユビキチン化されたRISC複合体がエキソソームに封入され、細胞外に分泌される可能性がある。すなわちパーキンが分泌型microRNAの選択に関与している可能性があるため、下記の実験系においてもさらにこれを検討する。 平成27年度にはさらにパーキンKOマウスMEF、PARK2患者皮膚fibroblastにおける検討 を上記と同様ので検討する。またアポトーシス誘発培養神経細胞におけるmicroRNAの解析、ならびにパーキンKOマウスMEF、PARK2患者皮膚fibroblastにおける検討 を行う予定である。アポトーシスの誘導はロテノンおよびH2O2を使用する。さらに、ミトファジーおよびアポトーシスに関連した分泌型microRNAが同定された場合には、PARK2患者および孤発性パーキンソン病患者の血漿・脳脊髄液においてmicroRNAアレイとともにRT-PCRで定量し、健常者と比較することで、病態との関連を検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究では、ミトファジーやアポトーシスの際にmicroRNAの細胞内分布がどのように変化するのか、さらに分泌型microRNAが変化するか否かをmicroRNAアレイを用いて検討する。材料としては神経系培養細胞SH-SY5Yを用い、分泌型microRNAに関してはクローニングによりそれを同定する。またミトファジーに関しては、パーキンの存在がそれらにどのような影響を与えているのか否かを、パーキンKOマウスMEF、PARK2患者皮膚fibroblast細胞を用いて、野生型との比較の中で明らかにする。さらに孤発性パーキンソン病、PARK2を含む家族性パーキンソン病患者の血漿や脳脊髄液において同様のmicroRNAが病態と関与しているか否かをmicroRNAアレイおよびRT-PCRを用い、健常者と比較することで検討する。平成26年度は分泌型microRNAの分離に予定より若干手間取ったため、研究全体の進行が遅れたため、経費を繰り越すこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は精力的に分泌型microRNAのクローニングならびにパーキンKOマウスMEF、PARK2患者皮膚fibroblast細胞を用いて、microRNAを野生型と比較検討する。
|
Research Products
(8 results)