2014 Fiscal Year Research-status Report
トランスポーター選択性に基づく肝腎二系統排泄型新規X線造影剤の開発
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26670388
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 伸行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (60300951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUTABHA Promsuk 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90541748)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は既存のヨード性造影剤に側鎖Aを付与したI-Aをすでに作製しているが、新たに側鎖Bを付与したI-Bを作製した。これを用いたin vitroでの検討としてOATPトランスポーターによる化合物輸送実験を行った。 これまでの検討で以下のことがわかっている。I-AはControlに比して、OATP1B1、OATP1B3を介した17b estradiol-D-17b-glucuronide(E217bG)の取り込みを有意に抑制する。一方、OATP1B1を介したEstrone-Sulfate (ES)の取り込みは、Controlと同様に抑制しない。また、I-Aは、Controlでは殆ど競合阻害されないOATP2B1を介したE217bG取り込みも競合阻害する。これと比較して、I-BはOATP1B1を介したE217bG、ESの取り込みをほぼ完全に抑制し、OATP1B3を介したE217bGの取り込みを90%程度抑制した。また、OATP2B1を介したE217bGの取り込みも80%程度抑制した。 上記結果をもとに、I-Bを用いた動物実験を行った。マウス尾静脈よりI-Bを注入しCTを撮像したが、静脈注射直後にマウスは死亡した。その後の検討で、I-Bは水に難溶性であり、エタノールあるいはDMEMに溶解されたI-Bは水分の混入により粘稠度が非常に高くなることが判明した。現在のところこれがマウス死亡の原因と考えられる。 以上の結果は、ヨード性造影剤の肝特異的トランスポーターを介した肝細胞内への取り込みは、側鎖を付与することにより可能となることを示しており、肝臓より排泄される造影剤実現の可能性を示すものと言える。加えて、この取り込みは側鎖によって異なる動態をとるため、より高効率な側鎖を探索する必要がある。しかし、側鎖によっては水に難溶性で粘稠度にも変化をきたすため、動物を用いた毒性確認試験は必須である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる側鎖を付与した新たな候補造影剤を作製し特性の検討を行った。 予算的な問題から新規候補造影剤の作製は一つとなったが、in vitro、in vivoの検討を行い、側鎖の構造の違いによる、薬物動態、性質の違いを検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本検討により、目標達成の可能性が示された一方で、本年作製した候補造影剤I-Bは、in vitroでの検討では有望と考えられたが、in vivoの検討では高い毒性が示された。27年度は側鎖の位置が異なる候補造影剤I-Aの構造異性体による薬物動態の違いを検討するとともに、これまで検討を加えていない候補造影剤を作製し同様の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
3月に行った動物実験にかかる経費の請求が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度前半に支払いの予定となっている。
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