2015 Fiscal Year Annual Research Report
トランスポーター選択性に基づく肝腎二系統排泄型新規X線造影剤の開発
Project/Area Number |
26670388
|
Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 伸行 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (60300951)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JUTABHA Promsuk 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90541748)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 造影剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は平成26年度までに既存のヨード性造影剤に側鎖A、Bを付与したI-A及びI-Bを作製し、in vitroでの検討を行い、いずれも肝細胞特異的トランスポーターより細胞内に取り込まれることを確認した。27年度にはこれをもとにin vivoの検討を行った。I-Bは水に難溶性であったため、実験にはI-Aを用いた。尾静脈よりI-Aを投与し、20分後のCTにて腸管内と尿管内に造影剤が排泄されたことが示された。また、脂肪性肝炎から肝細胞癌を発癌するマウスモデルを用いて同様の検討を行い、I-Aは腫瘍部に比して正常肝臓でより造影効果が強くなることが確認された。 次に、I-Aの濃度を変えてマウスに投与し、コントロールのX線造影剤Iohexolと比較して毒性を評価した。この結果500mg/ml,250mg/mlではマウスは死亡し、病理学的検索により死因は造影剤の粘稠度が高いことによる血栓形成と考えられた。125mg/ml以下では病理学的、血清学的に副作用は認められなかった。 またI-AはEOBの付与された位置により5つの構造異性体を含む。我々はHPLCによりI-A1、I-A2の二つの構造異性体に分離しin vitroでI-A1, I-A2をコントロールのGd-EOB-DTPAと比較した。OATP1B1を介するESの細胞内への取込阻害は認められなかった。OATP1B3を介したE217ßGの取込はI-A1, I-A2で同様に約50%の阻害、OATP2B1を介したESの取込はI-A1, I-A2で同様に約40%の阻害であった。一方で、OATP1B1を介するE217ßGの取込はGd-EOB-DTPAが約20%の阻害を認めたのに対し、I-A1では約40%、I-A2では約80%の阻害を認めた。以上からEOBの位置によりトランスポーター親和性が異なる可能性が示された。
|