2014 Fiscal Year Research-status Report
高安動脈炎の疾患感受性遺伝子同定と発症機序の探求:診断・治療への応用
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26670399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯部 光章 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80176263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前嶋 康浩 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40401393)
江花 有亮 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (60517043)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高安動脈炎 / 遺伝子多型 / 転写因子 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
高安動脈炎は大動脈をはじめとする大型動脈が炎症に侵されて狭窄や拡張を生じ、多彩かつ重篤な症状を示す難治性疾患である。高安動脈炎は自己免疫異常により病状が進展するが、その発症機序については不明である。そのため治療は非特異的な免疫抑制療法に限られており、治療難渋例が多い。高安病患者の約98%は弧発例であるが、一卵性双生児の症例が存在することや、ヒト白血球組織適合抗原(HLA)クラスI分子-B*52の陽性例では、陰性例と比較して重症例が多いことが報告されていることから、以前から本症の発症に遺伝要因が関与している可能性が指摘されてきた。最近、申請者らは高安病患者を対象とした全ゲノム関連解析(GWAS)を施行して高安病の疾患関連感受性遺伝子を発見した。その結果、既知の6番染色体上にあるHLA-B領域のほか、5番染色体上にあるIL12B領域(rs6871626)と17番染色体上にあるMLX領域の一塩基多型(SNP)が高安動脈炎と関連していることを見いだした。しかしながら、これらの遺伝子変異が高安動脈炎の発症にどのような役割を担っているのかは不明のままである。このうち、平成26年度はIL12B領域のSNPと高安動脈炎の病勢の関連につき、90例の患者を対象にして検討した。その結果、rs6871626のホモリスクアレルを有している患者群ではそれを有していない患者群と比較して有意に発症年齢が若く(20歳未満)、ステロイド抵抗性であり、再発を起こしやすい傾向にあることが判明した(Matsumura T, Isobe M et al. Heart Vessels 2015)。このことから、rs6871626のSNPは高安動脈炎の病勢を予測することができる臨床的にも有用なマーカーになりうるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、本研究費応募時の申請書に記載した研究計画通り順調に計画が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究費応募時の申請書の研究計画に記載したとおり、今後はMLX遺伝子のSNPと高安動脈炎の関わりについての研究を主体に行ってゆく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究計画は平成26年度から平成27年度の2ヶ年計画であり、本研究計画の2年目にあたる平成27年度にはよりコストのかかるMLXの研究を控えているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
応募時に記載した研究計画・方法に準じて、高安動脈炎におけるMLX遺伝子のSNPが、高安動脈炎の発症や病状進展のどのように関わっているのかについて検討する実験に必要な研究資源を入手する目的で使用する。
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[Journal Article] Takayasu arteritis and ulcerative colitis -high concurrence ratio and genetic overlap.2015
Author(s)
Terao C, Matsumura T, Yoshifuji H, Kirino Y, Maejima Y, Kochi Y, Ogimoto A, Yamamoto M, Takahashi H, Nakayamada S, Saito K, Wada Y, Narita I, Kawaguchi Y, Yamanaka H, Ohmura K, Atsumi T, Tanemoto K, Miyata T, Kuwana M, Komuro I, Tabara Y, Ueda A, Isobe M, Mimori T, Matsuda F.
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Journal Title
Arthritis Rheumatol.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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