2014 Fiscal Year Research-status Report
有機ルミネッセンスを用いた in vivo の体内臓器酸素化評価方法の開発
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26670425
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南学 正臣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (90311620)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低酸素 / 酸素分圧 / 腎臓 / 有機ルミネッセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素は、慢性腎臓病をはじめとする様々な病態で中心的な役割を果たしている。本研究では、これまで確立していない生体での体内臓器の酸素化の評価方法を確立するために、有機ルミネッセンスを用いて新しい低酸素感知プローブを利用した、体内臓器の酸素化の評価方法の確立を目指したものである。 実験においては、マウスにイリジウム錯体修飾物による有機ルミネッセンスプローブを投与し、定常状態での腎臓の酸素化を評価した。この有機ルミネッセンスプローブ BTPDM1は、陽性荷電で脂溶性であり、細胞内に取り込まれ、酸素濃度に依存してリン光の強度と寿命が変化する特徴がある。並行して培養尿細管細胞 HK-2 を用いて、培養機の酸素分圧を変化させ、細胞内酸素分圧とリン光寿命の関係を明らかにした。実験では、培養の温度や加えるプローブの量も変化させ、正確な細胞内酸素分圧の評価を可能にした。更に、有機ルミネッセンスプローブを静脈内投与したマウスを全身麻酔して動きを抑制し、開腹して腎臓の発光を評価することで、腎臓の細胞内酸素分圧を推定することが可能であることを確認した。組織レベルでは、有機ルミネッセンスプローブは尿細管細胞に取り込まれており、生きているマウスの腎臓のリン光を評価することで、腎臓の尿細管細胞内酸素分圧の評価が可能であることが分かった。プローブについては、投与後30分は体内の挙動が安定であった。更に、虚血再還流急性腎不全モデル、動物の吸入する酸素分圧を変化させるモデル、貧血により臓器への酸素供給を減少させたモデルなどを用い、腎臓での酸素分圧の変化を検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、初年度は正常動物で有機ルミネッセンスプローブを用いた腎臓の酸素分圧評価系を確立し、2年目に様々なモデル動物における腎臓の酸素分圧の変化を検証する予定であったが、評価系の確立を予定より早く達成することが出来、既にモデル動物を用いた研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
モデル動物の結果をまとめ、論文化して発表する。なお、本成果は novelty が高い非常に重要なものであり、論文化までは学会発表を控えている。
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