2014 Fiscal Year Research-status Report
食塩感受性高血圧の発症と持続に関わるエピゲノム異常の解明
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26670426
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (10114125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸茂 丈史 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (70265817)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高血圧 / エピゲノム / 腎臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の高血圧患者数は約4000万人にのぼるが、その大部分を占める本態性高血圧の病因は未だ明らかになっていない。全ゲノム関連解析や候補遺伝子解析によって解明された個人間のDNA塩基配列の違いは、高血圧発症のごくわずかしか説明できないため、発症には環境因子が大きく関与していると考えられている。高血圧を生じさせる環境因子には、交感神経活性化のほかに、食塩負荷、肥満・糖尿病、レニンアンジオテンシン系活性化などがあるが、エピゲノム異常との関連は不明確である。本研究では組織特異的な解析により、どのように環境因子が高血圧発症に関わるエピジェネティック異常を生じさせるか解明し、新規治療法確立を目指している。腎臓は多種類の細胞から構成されており、それぞれが固有の遺伝子発現パターンを形成している。Na輸送体についても、尿細管の近位と遠位では異なる機能Na+輸送体がNa+再吸収に関わっており、尿細管分画毎の解析が必須であることがわかる。遺伝子発現様式にともない腎臓構成細胞の間ではエピジェネティック状態の違いが同様に存在する。そこで本研究では、糸球体や尿細管などの部位毎に分けてセルソーターで細胞を分取し、食塩負荷などの環境要因で生じるDNAメチル化異常を解析する。本年度はまず、正常腎臓近位尿細管を分取して、DNAメチル化状態について解析した結果、Na輸送体ならびにレニンアンギオテンシン系を含めて近位尿細管に特異的にメチル化状態が異なる遺伝子を複数同定し、発表することができた(J Am Soc Nephrol 2015 in press)。また、集合管を分取する手法のため、染色マーカーの選定をすすめ、AQP2を豊富に含む分画を分取することに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正常腎臓近位尿細管細胞のDNAメチル化プロファイルを血圧関連物質を含めて獲得することができた。また、集合管の分取方法も確立しつつあり、次年度での病態モデルならびに培養系での検討にむけて、必要なデータベースと実験条件を整えることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに明らかにしている近位尿細管でのDNAメチル化の検討を進めるとともに、それ以外のでの分画のDNAメチル化プロファイル獲得を目指す。また、病態モデルでの変化の検討および培養細胞を用いた環境因子によるエピゲノム変化についての検討を進める予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Diabetes Induces Aberrant DNA Methylation in the Proximal Tubules of the Kidney2015
Author(s)
Marumo T, Yagi S, Kawarazaki W, Nishimoto M, Ayuzawa N, Watanabe A, Ueda K, Hirahashi J, Hishikawa K, Sakurai H, Shiota K, Fujita T
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Journal Title
J Am Soc Nephrol
Volume: 26
Pages: 2388-97
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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