2014 Fiscal Year Research-status Report
ポドサイトパチーにおけるRhoファミリーG蛋白質を介する形態機能連関
Project/Area Number |
26670427
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
長瀬 美樹 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302733)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | Rac1 / ポドサイト障害 / 細胞の運動性 / オプトジェネティクス / 鉱質コルチコイド受容体 / 細胞骨格 / アクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ポドサイト特異的Rac1 恒常活性化マウス、ポドサイト特異的Rac1 恒常欠損マウスを作製したところ、両マウスともにポドサイト障害(電子顕微鏡所見、ポドサイトマーカーの染色異常)、アルブミン尿、糸球体硬化を自然発症することを見出した。両マウスに鉱質コルチコイド受容体(MR)拮抗薬を投与した所、前者では腎障害所見が劇的に改善したが、後者では無効で、ポドサイト障害の分子機序が異なることが推察された。2.Rac1活性化状態のin situでの評価法の確立:RhoGDIα、Rac1 knockdown(KD)培養ヒトポドサイト細胞株を用いてactive Rac1に対する抗体で染色した所、control 群、Rac1 KD群ではシグナルが検出されず、一方RhoGDIαKDでは細胞膜付近にactive Rac1の染色像が認められた。Rac1が活性化されているポドサイトでは、アクチン染色でcortical F-actin ringパターンを認めた。3.Rac1活性化状態とcell motilityに関する検討:細胞の運動性をtime lapse imagingで評価したところ、Rac1 KD群ではcell motilityの低下を認めた。RhoGDIα KD群ではcell motilityが亢進しており、これはRac阻害薬により抑制された。4.光照射により時間・部位特異的にポドサイトRac1 を活性化させるin vitro の系の確立と形態機能解析:光照射によりRac1が活性化されるプラスミドをポドサイトに過剰発現させた系を確立するため、さまざまなポドサイト細胞株を用いて予備検討を行い、ラット由来のPod7で過剰発現効率が高いことを見出した。本細胞株はMRを高発現しており、Rac1とMRのクロストークを探索するにもよい系であると考えられた。現在安定過剰発現株の作成を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルでポドサイト特異的Rac1過剰活性化系、Rac1欠損系を成功し、両者が異なるメカニズムでポドサイト障害を惹起することを見出した。さらに、これまでRac1のよい抗体がなく局所におけるRac1活性化状態を評価することができずにいたが、今回培養細胞系では評価系を構築することに成功した。さらに、in vitro培養細胞の系で、Rac1活性化状態とcell motilityの評価系を確立し、Rac1過剰活性化によるcell motilityの亢進を示すことができた。以上の内容は、2014年国際腎臓学会ISN Nexus symposium、2015年日本解剖生理合同学会シンポジウムで発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養細胞系においてin situでのRac1活性化状態の評価法を確立できたので、引き続き、腎組織における局所におけるRac1活性化状態の評価法を構築して、ノックアウトマウスのデータを論文にまとめる。オプトジェネティクス解析は培養細胞系では安定細胞株を作製して解析を進める。ex vivo糸球体の系での解析は、予備検討で効率の良い過剰発現方法を見出しており、来年度はin vitro, ex vivoの系で光照射による形態機能連関の実際の解析を進める。
|
Causes of Carryover |
初年度の研究結果から、in vitro, ex vivo糸球体における光誘発性活性化Rac1過剰発現系の構築で、単純なリポフェクションによる一過性過剰発現系では細胞によるRac1活性化のヘテロジェネイティのために解析が困難であることが判明し、安定細胞株の作製、異なるトランスフェクションの系の構築が必要となったため、次年度にかかる費用が従来の予定以上に増える見込みで、繰り越しを行った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
シングルコロニー法による安定過剰発現ポドサイト細胞株の作製 センダイウイルスを用いた過剰発現単離糸球体の作製
|
Research Products
(9 results)