2014 Fiscal Year Research-status Report
糸球体血行動態調節機構の加齢性変化:腎臓の老化における病態生理的意義
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26670434
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
有馬 秀二 近畿大学, 医学部, 教授 (60323010)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪性腎硬化症 / 糸球体微小循環 / オートファジー / 降圧治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
糸球体単離灌流実験と血管分子生物学的実験については未だ成果は得られていないが、腎内小胞体ストレス・酸化ストレスに関する検討では、悪性腎硬化症の動物モデルであるmalignant stroke-prone spontaneously hypertensive rats (M-SHRSP) を用いて、高血圧性腎障害とオートファジー、特にストレスとの関与が強いとされるマクロオートファジーとシャペロン介在性オートファジーの関連を検討し、以下の結果を得た。 悪性高血圧レベルまで血圧が上昇した13週齢のM-SHRSPの腎臓では、マクロオートファジー関連蛋白LC3B-Iとシャペロン介在性オートファジー関連蛋白であるLAMP2aおよびHSC70の発現量が減少していた。ヒドララジン(Hyd)あるいはアゼルニジピン(Aze)で降圧することにより、腎機能障害と組織傷害は軽減した。LC3の免疫組織染色ではポドサイト、遠位尿細管、ヘンレ係蹄の太い上行脚および集合管に染色を認めたが、降圧治療により髄質におけるLC3B-II蛋白発現量が増加した。LAMP2aは近位尿細管と集合管に染色を認め、 降圧薬治療により髄質における蛋白発現量が増加した。HSC70はポドサイド、遠位尿細管およびヘンレ係蹄の太い上行脚に染色を認め、Hyd投与により皮質における蛋白発現量が軽度に減少した。シャペロン介在性オートファジーではHSC70を含むシャペロン複合体とLAMP2aが結合することで基質がリソソーム内へ取り込まれるが、Aze投与群の集合管においてHSC70とLAMP2aの共発現増加が蛍光二重染色で確認された。 以上の結果より、悪性腎硬化症の腎臓では酸化ストレスを含む種々のストレスが増強しているにも関わらずオートファジーが減弱しており、腎障害の進行に寄与している可能性が示唆された。また、降圧薬治療により腎障害の進行が抑制されるが、その機序にマクロオートファジーやシャペロン介在性オートファジーの活性化が関与する可能性も考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
糸球体単離灌流実験と血管分子生物学的実験において、成果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
糸球体単離灌流実験に関しては設備は完備されているが、実験が成功していない状態である。原因を追究して精度を上げ、予定していた内容で研究を進めていきたい。 血管分子生物学的実験においては、腎細動脈の内皮細胞と血管平滑筋細胞の培養系が確立できず、進んでいない状況である。早急に培養細胞を確立して、当初の計画を進めていきたい。 腎内小胞体ストレス・酸化ストレスに関する検討では、降圧治療薬による効果の違いを詳細に検討し、病態メカニズムの解析を進めていく予定である。
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