2014 Fiscal Year Research-status Report
ステロイドホルモンの質量分析イメージングによる組織細胞上の直接可視化法の開発
Project/Area Number |
26670461
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40164850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹森 洋 独立行政法人医薬基盤研究所, その他部局等, その他 (90273672)
矢尾 育子 浜松医科大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60399681)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ステロイドホルモン / 質量分析 / MALDI / SALDI / nano-PALDI / イオン化 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳動物のステロイドホルモンは、主に副腎、性腺で産生され、その産生に影響する疾患は数多いが、ステロイドホルモンの組織/細胞上での直接的な検出、可視化ができないために、ステロイドホルモン産生/保有細胞の同定はそれらの合成酵素群の蛋白質や mRNA を検出することによって間接的に推定されているのみである。本研究は、質量分析イメージング法を用いて、組織/細胞上のステロイドホルモンの直接検出を可能とする方法の開発に挑戦する。 平成26年度は、主に代表的ステロイドホルモン6種について、MALDI法、SALDI法を用いた質量分析検出条件を検討した。ステロイドホルモンは、通常のMALDI法に用いるイオン化支援剤(マトリックス)である DHBやCHCAなどの芳香族有機化合物ではイオン化され難く、検出が困難であった。又、これら有機マトリックスは、ステロイドホルモン検出領域に多量のバックグランドノイズを産出し、解析を困難にした。そこで本研究では、種々の金属ナノ粒子を適用したSALDI/nano-PALDI法を用いたステロイドホルモンの効率的検出条件を検討した。代表的ステロイドホルモンの純試薬6種において、島津社Axima、Bruker社SolarixなどのMALDI機で、種々の金属ナノ粒子をイオン化支援剤として用いて、ステロイドホルモンのイオン化効率の高い物質をスクリーニングした。この際、レーザー波長337/355nm付近に吸収を持つ金属ナノ粒子を中心に検討し、測定は正イオンモードに加えて、負イオンモードでも検出し、ステロイドホルモン検出に適した条件を探索した。酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタンなどの、種々の酸化金属ナノ粒子をイオン化支援剤として用いると、ステロイドホルモンの検出感度が高く、バックグランドノイズも少ないことが明らかになった。又、一般に正イオンモードの方が強く検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ステロイドホルモンはイオン化しにくく、質量分析MALDI法の一般的なイオン化支援剤であるDHBやCHCAなどの芳香族有機分子では検出感度が低く、又、ステロイドホルモンを含む低分子(m/z)領域に多くのバックグランドノイズが検出される。これらの問題点を克服するために、新たなイオン化支援剤をスクリーニングし、酸化鉄などの種々の酸化金属ナノ粒子が、ステロイドホルモンを効率的にイオン化すると共に、バックグランドノイズが低く、感度の高い検出が可能となることが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ステロイドホルモン純試薬において、種々の酸化金属ナノ粒子をイオン化支援剤として用いることによって、効率的にステロイドホルモンの質量分析検出が行われることが明らかになった。今後、更にこれらのナノ粒子の化学修飾を含めて、イオン化支援効率の高い化学物質のスクリーニングを行うと共に、組織切片におけるイオン化支援剤の噴霧/適用条件の検討、ステロイドホルモンを切片上でイオン化しやすい化合物に変換する方法などを組み合わせて、組織切片中のステロイドホルモンの検出を可能にする新たな手法の開発を検討する。
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Causes of Carryover |
年度末において、次年度予算と共により有効に使用するために次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品に使用する予定。
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Research Products
(5 results)