2014 Fiscal Year Research-status Report
染色体逆位特異的EVI1発現機構を用いた白血病幹細胞の同定と新規治療標的の探索
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26670463
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 雅之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50166823)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 未来子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80508309)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 白血病幹細胞 / EVI1 / トランスジェニックマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
3q21と3q26との間の染色体転座や逆位は、予後不良の急性骨髄性白血病を惹起する。この白血病では、3q26側に存在するEVI1遺伝子が異常に発現することが白血病発症の原因となるが、その詳細なメカニズムに関しては不明な点が多い。私たちはこの白血病発症機構を解明するために、大腸菌人工染色体(BAC)クローンを用いて、ヒトの3q21と3q26との間の逆位を再現したトランスジーンをもつマウス(3q21q26マウス)を樹立した。3q21q26マウスでは、造血幹・前駆細胞特異的にヒトEVI1遺伝子が高発現しており、このマウスは24週齢以降に実際に白血病を発症した。3q21q26マウスの白血病細胞を解析したところ、B細胞マーカーであるB220または骨髄球マーカーであるGr1が陽性となるB220+/Gr1-細胞、B220+/Gr1+細胞、B220-/Gr1+細胞の3種類の白血病細胞が混在する混合型白血病であることがわかった。これらの3分画において、未分化細胞のマーカーであるc-Kitの発現を解析したところ、B220+/Gr1-分画が最も多くc-Kit陽性細胞を含んでおり、B220+/Gr1-/c-Kit+分画は、高いコロニー形成能を有していた。さらに、この細胞分画から骨髄球系細胞(B220-/Gr1+細胞)への分化が認められた。また、B220+/Gr1-/c-Kit+分画の細胞では、EVI1遺伝子の高発現も認められた。以上の結果から、白血病細胞分画のうち、B220+/Gr1-/c-Kit+分画が最も未熟な細胞を含んでおり、この細胞から白血病細胞が発生しているものと理解される。 さらに、このB220+/Gr1-/c-Kit+分画から白血病幹細胞を同定するために、逆位アリルの制御下にtdTomato蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウスを樹立した。現在、このマウスのtdTomato発現プロファイルを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
逆位アリルの制御下にtdTomato蛍光タンパク質を発現するレポータートランスジェニックマウスの作製が少々遅れたものの、無事に樹立することができた。レポーターマウス作製中に、分化マーカーを用いたフローサイトメトリー解析を行うことにより、白血病幹細胞が存在する分画をしぼることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
逆位アリルの制御下にtdTomato蛍光タンパク質を発現するレポータートランスジェニックマウスを用いて、逆位アリル由来のEVI1遺伝子発現を指標に白血病幹細胞の同定を引き続き行う。また、3q21側に存在するGATA2遺伝子エンハンサーを標的とする治療法開発へむけて、GATA2遺伝子エンハンサーに対して抑制的にはたらくGATA1の導入実験を行う。
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Causes of Carryover |
tdTomatoレポーターマウスの作製に時間がかかり、このマウスの解析が当該年度内に行えなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
EVI1発現白血病における白血病幹細胞の探索研究に使用する。tdTomatoレポーターマウスを用いて、EVI1遺伝子発現をin vivoでモニターすることにより、がん遺伝子発現様式をもとにした白血病幹細胞の同定を試みる。
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Research Products
(5 results)