2014 Fiscal Year Annual Research Report
急性骨髄性白血病におけるクローン進化の空間的多様性の検討
Project/Area Number |
26670466
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 誠司 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60292900)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 急性骨髄白血病 / 腫瘍内多様性 / 全エクソンシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、様々な固形腫瘍で腫瘍内の多様性が存在し、治療抵抗性や再発と深く関わっていることが明らかにされている。しかし、急性骨髄性白血病(AML)をはじめとする造血器腫瘍において空間的な腫瘍内多様性が存在するかに関しては明らかではない。そこで本研究ではAMLにおいて空間的な多様性が存在するか検証するために、AML剖検例2例より多数サンプリングを行った。具体的には、剖検時に左右の脛骨・大腿骨・鎖骨・椎体・腸骨・胸骨など5~7ヶ所の骨髄および末梢血・血漿より検体を採取し、DNAを抽出した。その後、それらの検体および頬粘膜(生殖細胞系列のコントロール)のDNAを用いて全エクソンシーケンスを行った(平均カバレッジ86.6×)。現在までに、その中で1例の解析が終了している。その結果、各骨髄では28~37個、末梢血では68個、血漿では38個の変異を認め、各々共通する変異(shared)およびその部位固有の変異(private)を認めた。shared変異としては、本症例のdriver変異の考えられるTET2, RUNX1, BCOR, STAG2, IDH1などの変異を認めた。各骨髄でprivate変異も多数認められたが、それらの特徴として胸骨と鎖骨など近接する部位から採取した検体ではお互いにprivate変異は少なく、鎖骨と腸骨など空間的に離れている部位から採取した検体ではお互いに多くのprivate変異が認められるということが明らかとなった。また、末梢血や血漿DNAにおいても、骨髄で認められないprivate変異が多数認められていた。これらの結果は、AML患者においても骨髄内に空間的な多様性が存在することおよび、それらの違いが各採取部位の距離に依存する可能性が示唆された。
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