2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670473
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相場 節也 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80159269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 由美子 東北大学, 大学病院, 技術職員 (00375057)
水芦 政人 東北大学, 大学病院, 助教 (20400369)
木村 裕 東北大学, 大学病院, 助教 (90375056)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄代謝 / フェロポーチン / ヘムオキシゲナーゼ / 表皮細胞 / 角化 |
Outline of Annual Research Achievements |
表皮では外側に向かうにつれて鉄濃度が減少することがこれまでから知られていたが、この鉄濃度減少を説明できる鉄代謝に関わる分子の発現、機能についてはあまり知られていなかった。そこで我々は、現在までに他の臓器で知られている鉄代謝に関わる分子の表皮内での蛋白局在ならびにmRNA発現を、免疫組織染色とレーザーマイクロダイセクションの手法を用いて検討を加えた。続いて培養表皮角化細胞をカルシウムにより分化誘導し、これら鉄代謝関連分子の表皮分化に伴う蛋白およびmRNA発現と細胞内鉄量の変動についてin vivoで検討した。これらの一連の実験により、表皮細胞は未分化な状態では鉄を細胞内に取り込むための蛋白が発現しているが、分化とともにこれらの蛋白発現が消失するとともに、鉄を細胞外に排出するための蛋白発現が高まることが分かった。一般に全身の鉄代謝においてはフェロポーチンと呼ばれる細胞内鉄を細胞外に放出するトランスポーターが細胞内外に鉄濃度調節に重要な役割を担っているが、我々の研究でも表皮細胞がフェロポーチンを角化とともに発現することが明らかとなった。そこで表皮細胞分化に伴う細胞内鉄量の減少がフェロポーチンによる作用であるかを確認するため、フェロポーチン特異的siRNAとフェロポーチンの特異的な分解を誘導することが知られているヘプシジンを用いて、フェロポーチン蛋白の減少が細胞内鉄量の増加をもたらすことを明らかにした。さらに、フェロポーチン遺伝子欠損マウスを用いて、鉄含量の少ない食事をとらせることにより欠損マウスで対照と比較して有意に貧血が進行することも明らかにした。今回の我々の研究により、表皮では鉄関連分子が分化による秩序的な発現制御を受け、表皮上層へ向かうにつれて生じる鉄の減少勾配を能動的に生み出している可能性が明らかになった。
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