2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670480
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
善本 知広 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (60241171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤枝 重治 福井大学, 医学部, 教授 (30238539)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アレルギー性鼻炎 / 環境微粒因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)モデルマウスを用いたマウスバイオロジーを中心に、PM2.5によるアレルギー増悪分子・細胞を探索した。 1.PM2.5の季節性アレルギー性鼻炎モデルマウスに対する影響の検討;ブタクサ花粉(RW)特異的ARモデルマウスに、アレルゲンと共にPM2.5の点鼻によって鼻炎が増悪するか検討した。尚、PM2.5としてディーゼルエンジンを燃焼し、排気ガスから精製調節した微粒子状物質(diesel exhaust particles;DEP)を用いた。その結果、通常RW免疫マウスにRW点鼻で鼻炎症状(くしゃみ回数の増加)が認められないRW(0.1μg)をDEP(1, 3, 10μg)と同時点鼻すると、DEPの濃度依存的にくしゃみ回数は点鼻日数と共に著明に増加した。一方、鼻粘膜への好酸球浸潤と頸部リンパ節細胞からのTh2サイトカイン産生はRW単独群とRW+DEP群で有意差は認められなかった。 2.PM2.5の鼻粘膜曝露時期によるアレルギー性鼻炎増悪に対する影響の検討;通常、PM2.5と花粉の飛散時期が同時に発生するとは限らない。そこで、PM2.5による鼻炎症状(くしゃみ回数)増悪による影響を更に検討する目的で、RWで免疫したマウスにDEP(10μg)を4日間連日点鼻し、さらに当該マウスにRW(0.1μg)を4日間点鼻した。その結果、あらかじめDEPに曝露されたマウスはRW点鼻初日からRW単独点鼻マウスに比較して著明にくしゃみ回数が増加した。以上の結果は、DEPは鼻粘膜(上皮細胞または、上皮細胞下の免疫担当細胞)に対して何らかの影響を及ぼすものと推測された。 3.PM2.5の鼻粘膜上皮細胞に対する影響の検討;正常マウスにDEP(10μg)またはRW(0.1μg)を4日間連日点鼻したマウスの鼻粘膜上皮細胞のバリア機能を検討する目的で、上皮細胞のtight junction (ZO-1) を免疫組織染色で解析した。その結果、DEPは上皮細胞のtight junctionを著明に破壊することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブタクサ花粉モデルマウスに対して、1)環境微粒因子DEPが鼻炎症状増悪機能を有していること、2)その機序の1つとして鼻粘膜上皮細胞のtight junctionを著明に破壊することが明らかになった。一方、3)従来DEPはアジュバント効果としてTh2免疫応答を増強することが知られていたが、本研究でDEPの新たな機能が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
DEPによる上皮細胞tight junctionへの影響をさらに検討すると共に、DEPの如何なる作用によって tight junctionが破壊されるか検討する。さらに、DEPに対する阻害剤を用いて鼻炎症状を抑制する薬剤をスクリーニングする。
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Causes of Carryover |
計画通り研究は遂行できており、残額については誤差の範囲である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、マウス実験規模は縮小せず、他の試薬費等を最小限に抑え、実験を行う。
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Research Products
(27 results)