2015 Fiscal Year Annual Research Report
慢性甲状腺炎に伴う自己免疫性橋本脳症の背景遺伝子多型の網羅的解析
Project/Area Number |
26670481
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
田中 雅嗣 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 協力研究員 (60155166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 誠 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (70270551)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 橋本脳症 / 慢性甲状腺炎 / エクソン領域 / 抗N末端α-エノラーゼ / 機能的多型 / 関連解析 / アミノ酸置換 / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性甲状腺炎(橋本病)は日本人の3~5%が罹患する極めて頻度の高い疾患である。橋本脳症は慢性甲状腺炎に伴い認知症や精神症状を呈する自己免疫性脳症で、複数の臨床病型が存在する。一般に橋本脳症では免疫療法が奏功するが、一部は治療抵抗性である。本研究においては、全エクソン領域のアミノ酸置換を伴う機能的多型24万個をHumanExome BeadChipを用いて網羅的に解析した。連続剖検におけるリンパ濾胞を伴う慢性甲状腺炎群56例と対照群1780例の比較ではHLA-DRA領域に最も顕著な関連を認めた。一方、抗N末端α-エノラーゼ(NAE)抗体陽性の橋本脳症の患者群46例とNAE抗体陰性で脳症を伴わない橋本甲状腺炎の患者群41例ならびに対照群48例の比較においては、HLA領域の多型に加えて、自己免疫疾患あるいは移植片対宿主病において抗原となる蛋白質の遺伝子群における複数のアミノ酸置換を伴う多型が注目された。今後、橋本脳症の発症におけるこれらの遺伝子多型の役割を解明する。また橋本脳症の病型分類ならびにステロイド治療に対する応答性の相違に関連する遺伝子多型を探索する端緒が得られた。本研究成果は橋本脳症の新たな治療法の開発につながると期待される。
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