2014 Fiscal Year Annual Research Report
染色体手術によるウイルス・エリミネーション法の開発
Project/Area Number |
26670485
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
岸田 綱郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00370205)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 感染症治療学 |
Outline of Annual Research Achievements |
HIV陽性者数は、現在世界で3,530万人にのぼる。新規HIV感染者数は年間230万人、エイズによる死亡者数は年間160万人を数え、現在もっとも喫緊の対策が必要な感染症である。日本は先進国で唯一、新規感染者が増加傾向にあり、特に若年層での増加が大きな問題となっている。現在のHIV治療薬は、プロテアーゼ阻害薬や逆転写酵素阻害薬など、ウイルスのライフサイクルの特定のステップに必須の分子を阻害する薬剤が中心になっている。多剤を複合投与することで、AIDS発症を大きく遅延することが可能となったが、持続的な薬剤の投与が必要である。感染細胞の染色体に組み込まれたHIVゲノムを、特異的に切断、除去できれば、HIV感染に対する根本的な治療となると考えられるが、これまでのところそのような薬剤は実用化していない。一方で、最近になって、染色体上の任意の配列を特異的に改変する技術が、哺乳動物細胞においても可能となった。そこで本研究では、この染色体改変技術を用いて、HIVゲノムを切断、除去する手法を開発することを目的として行った。その結果、ヒト細胞に感染させたレンチウイルスのゲノム配列を、高い効率で切断しトランケーションさせることに成功した。本研究の成果は、感染細胞の染色体に組み込まれたHIV配列を、特異的に切断・破壊するという、HIV感染症に対する全く新しい治療法の開発に繋がる可能性がある(論文投稿準備中)。
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Research Products
(5 results)