2014 Fiscal Year Research-status Report
発病前検体を用いた網羅的DNA/RNA解析による川崎病の病原体の同定
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26670496
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小島 勢二 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20313992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 友介 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00725533)
加藤 太一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (20422777)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 川崎病 / 自己免疫疾患 / 制御性T細胞 / 次世代シークエンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
川崎病研究の最大の障害は、川崎富作博士の報告以来半世紀が経過したにもかかわらず、病因が不明な点である。疫学情報からは感染症の関与が示唆される。我々は、最近、川崎病発病時のCD4+CD25+Foxp3+制御性T細胞(Treg)が極度に減少していることを発見した。一方、従来の研究では、川崎病診断時の30%の患児から市中でしばしばみられる病原体が検出される。以上から、川崎病の発病以前に、Tregを減少させる何らかの感染症が起こり(イベント1)、さらに川崎病の発症には第2の感染症が関わる(イベント2)との仮説をもつに至った。今回の研究の目的は、BCG接種部位の発赤・腫張を手がかりに川崎病の発病前の検体と診断確定時に採取した検体を対象に、次世代シークエンサーを用いて網羅的な全DNA/RNAの解析をおこない、既知あるいは未知の病原体を同定して、上記の仮説を証明することである。 研究計画について、名古屋大学医学部の倫理委員会で承認を得た。名古屋大学医学部附属病院の関連病院においても、各施設の倫理委員会で承認を得て、検体の収集を開始した。これまでに、発病前検体として4検体を収集したが、2検体はその後川崎病の診断基準を満たさなかった。川崎病の診断基準を満たした2検体について核酸を抽出し、1検体については次世代シーケンサーによる読み取りを完了した。結果を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画について、名古屋大学医学部の倫理委員会で承認を得た。名古屋大学医学部附属病院の関連病院においても、各施設の倫理委員会で承認を得て、検体の収集を開始した。これまでに、発病前検体として4検体を収集した。川崎病の診断基準を満たした2検体について核酸を抽出し、1検体については次世代シーケンサーによる読み取りを完了した。結果を解析中である。本研究において、発病前検体が得られるかが最大の懸念であったが、順調に検体の収集は進んでいる。解析系も立ち上がり、順調な進展が得られていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
検体の収集を継続し、データの解析を進める。検体の収集については、名古屋大学医学部附属病院の関連施設でも予想以上の検体が収集されているが、さらに解析症例数を増やし、よい検体を確保するために、愛知県四大学小児科の合同プロジェクトとしての検体収集を開始する。
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Causes of Carryover |
多くの検体が得られた場合にも対応できる使用額を初年度に設定したため。得られる検体数を予想することが難しい研究計画のため、この使用額を設定する必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在の検体収集状況から予想すると、これから多くの検体が得られるため、それらの解析に使用していく。
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