2014 Fiscal Year Research-status Report
筋ジストロフィー原因糖鎖の解析と神経機能障害の治療法開発
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26670499
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小林 千浩 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90324780)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖鎖 / ジストログリカノパチー / 福山型筋ジストロフィー / 質量分析 / NMR構造解析 / 糖転移酵素 / α-dystroglycan / 神経機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
福山型筋ジストロフィー、muscle-eye-brain病、Walker-Warburg症候群を代表とするジストログリカノパチーは、先天性の筋ジストロフィー、II型滑脳症、眼奇形を示す。本疾患群はα-dystroglycan上のO-マンノース型糖鎖、特にマンノースの6位炭素からリン酸基を介して伸びる側鎖の欠如が主原因であると考えられているが、その構造や生合成機構は未解明である。また、本疾患群の精神遅滞は脳奇形ばかりでなく、神経の機能障害による可能性もある。本研究では、この側鎖の未知部分の構造決定と生合成過程解明、神経機能障害との関連とその治療の可能性について検討している。 本年度は以下の実験を行ってきた。 1.O-Man型糖鎖のリン酸基に結合した未知構造の決定:α-dystroglycan組換え体を大量精製して、質量分析にて糖鎖構造を決定している。またNMRを用いて詳細な構造を解析している。 2.機能未知のα-DGpathy原因遺伝子の機能解析:未知構造合成に関わると考えられるfukutin、FKRP、TMEM5、ISPDの機能未知の原因遺伝子産物の機能を同定している。またこれらのタンパク質活性を利用し、低分子の生合成物を作成精製し、質量分析やNMRを用いて詳細な解析を行っている。 3.モデルマウスを用いた行動やLTPの神経機能解析:すでに作製済みの患者変異fukutinノックインマウスを交配増殖し、行動解析を行う準備を整えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発現コンストラクトの作成やタンパク質の大量精製、細胞のゲノム編集など、実験の道具を作成することに多くの時間をかけたが、その後の解析は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
足りない道具などがあれば作成しながら、今後も継続して解析を行い、側鎖の未知部分の構造決定と生合成過程解明を行う。また、新たなO-Man型糖鎖修飾標的タンパク質、新たなα-dystroglycanのリガンドの同定を行う。一方で、患者変異fukutinノックインマウスの行動解析、モデルマウスを用いた脳内投与治療の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
設備備品を購入する必要がなくなり、また次年度にマイクロアレイ等の高額な消耗品購入の予定があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロアレイ等の高額な消耗品に使用する。
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Research Products
(1 results)