2014 Fiscal Year Research-status Report
けいれん重積型急性脳症モデルの確立と抗体療法の開発
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26670500
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大守 伊織 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20403488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 知士 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80397554)
大内田 守 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80213635)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 急性脳症 / 熱性痙攣 |
Outline of Annual Research Achievements |
けいれん重積型急性脳症の発症メカニズムは不明な点が多く,十分な治療効果が得られていない。重症化する場合は死亡する症例が少なからずあり,一命を取り留めても知的障害や運動障害,難治性てんかんなどの後遺症を併発することが多い。現状を解決するためには病態を解明する必要があり、病態に基づく新規治療法の開発研究にはモデル動物の確立が欠かせない。 本研究課題においてはScn1a遺伝子にミスセンス変異をもつラットを用いて,けいれん重積型急性脳症モデル動物を作製することが本研究の第一の目的である。SCN1A遺伝子変異を持つ人では、急性脳症の発症が報告されており、Scn1a遺伝子にミスセンス変異をもつラットは急性脳症モデル作成の有力候補と考えられた。 熱性けいれん感受性の高いScn1a遺伝子ミスセンス変異ラットを用いて,遷延性けいれんを誘発した。けいれん誘発剤としてLPS, ペンテトラゾールを用い,高温チャンバーに入れてけいれんを重篤化を試みた。けいれん誘発後,急性脳症の判定に,神経学的所見の異常(立ち直り反射,すくみ反射等,活動量)の確認、脳波検査を行ったが,急性脳症と類似の所見は得られなかった。また、脳の組織学的検討においても、脳浮腫、脳血液関門BBBの破たん,神経細胞壊死,ミクログリアの活性化等は確認されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Scn1a遺伝子にミスセンス変異をもつラットを用いて、種々の環境下による痙攣の誘発を試みているが、運動障害、空間記憶障害等が合併されることなく回復している。また、急性脳症に特徴的な病理的変化も伴っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
Scn1a遺伝子にミスセンス変異をもつラットでは、急性脳症を誘発することは困難と思われる。痙攣感受性が高いほかのモデルラットを用いて急性脳症モデルの作成を試みる。
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Causes of Carryover |
急性脳症モデル作成を試みたが、けいれんを誘発した後に急性脳症特有の神経学的異常所見が認められなかった。急性脳症が発症してから、病態解明のため生化学検査、神経生理学検査、組織学的検査を行う予定であり,これらが実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Scn1a遺伝子変異ラットでは急性脳症モデルの作成は困難と予測されるため、そのほかの痙攣感受性が高い系統のマウス・ラットを用いて実験を行う。急性脳症と類似の症状が誘発されれば、生化学検査、神経生理学検査、組織学的検査が実施できる。
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