2014 Fiscal Year Research-status Report
TTウイルス~常在ウイルス叢としての宿主防御における役割は?
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26670504
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森内 昌子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (60322301)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TTウイルス / HIV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
五島出生コホートにおける登録状況が思わしくなく、年間出生200-300のうちの2割程度しか登録できていない。五島中央病院における網羅的病原ウイルス検索のためのパイロット研究は進んでおり、multiplex PCRとreal-time PCRの手技は整っている。倫理委員会申請はこれからの段階である。 ベトナムコホートにおけるTTV陽性児の追跡調査は実施計画中である。 タイHIVコホートにおけるTTV 感染がHIV-1感染者に及ぼす影響については解析が進んでおり、以下の結果が得られている。 1)TTV Genogroup G1, G4, G5に関してはHIV-1感染者の方が非感染者よりも統計学的に有意に感染率が高かった(Fisher’s exact 0.000)2)HIV-1感染者におけるCD4細胞数とTTV感染との関連は、いずれのgenogroupにおいても認められなかった(Two-sample Wilson rank-sum tests)3)HIV-1感染者における血漿HIV-1 RNAコピー数とTTV感染との関連は、いずれのgenogroupにおいても認められなかった(同上)4)TTV血漿DNAコピー数と抗レトロウイルス療法未施行の感染者におけるHIV-1血漿RNAコピー数との間には有意な相関があった(regression model)5)一方、HIV-1 CD4細胞数との間には有意な逆相関があった(同上)6)HIV-1感染者においてTTV血漿DNAコピー数は生存率に相関していた(Two-sample Wilson rank-sum tests)7)TTV genogroup G4の感染はHIV-1感染者における生存率に相関し(Fisher’s exact 0.028)、Kaplan-Meyer曲線においても抗レトロウイルス療法未施行HIV-1感染者における死亡率の減少に寄与していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
五島コホートにおける研究の立ち上げに支障をきたしている。主たる理由は、人事上での目論見が狂い、五島中央病院に配置する小児科医の数が本来の定数を確保できず、研究活動協力に時間を充てることができないところにある。ベンチリサーチに関わる部分の基礎的な準備は整ったが、コホート登録のための体制作りにはさらに努力が必要な状況である。 一方、タイHIVコホートの研究は順調に進んでおり、必要な解析はほぼ終了した。 以上を総合的に判断し、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
五島コホートにおける研究の推進に、常勤の小児科勤務医や協力を願う産科医の負担がかからない方法を模索している。妊婦に対して研究参加を、効果的なパンフレットの配布で呼び掛ける他、研究補助員の動員を検討している。 また急性呼吸器・消化管感染症の網羅的病原ウイルス検索とTTV検出を行うフィールドとして、同様に地域唯一の小児入院可能な総合病院である県立島原病院を擁することも視野に入れて検討中である。
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