2015 Fiscal Year Research-status Report
小児がんにおける地固め療法としてのペプチドワクチン療法の確立
Project/Area Number |
26670508
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
細井 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20285266)
桑原 康通 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30590327)
菊地 顕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40453104)
宮地 充 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40584983)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 小児がん / 免疫療法 / 横紋筋肉腫 / 免疫チェックポイント / PD-L1 / PD-1 / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児がんの予後は手術療法、放射線療法、化学療法の集学的治療により改善を認めるが、依然として予後不良な一群が存在する。これらの治療のさらなる強化は治療関連毒性のために不可能であり、予後の改善のために革新的な異なる機序で作用する治療法の導入が必要である。近年、免疫療法は作用機序の異なる「fourth modality of cancer treatment~第四のがん治療」として、成人がんを中心に実用化へ向け臨床試験が行われている。一方で、小児がんにおいては免疫療法の基礎検討、臨床試験は未だ少ない。我々は、本課題において、小児がんに発現する免疫療法の標的となる抗原を同定し、preclinicalモデルで、小児がんに対する抗腫瘍効果の証明を行い、これらの基礎検討を基盤に免疫療法を小児がんにおいて臨床応用することを最終目標としている。 転移性横紋筋肉腫の中でも予後不良なPAX3-FOXO1陽性横紋筋肉腫の細胞株Rh30を用いた検討で、PAX3-FOXO1ノックダウンにより、腫瘍表面のPD-L1発現が低下し、単核球との共培養の系ではCD8陽性T細胞の分裂能は亢進した。これらの結果より、PAX3-FOXO1はPD-L1の発現を亢進させ、抗腫瘍免疫に対して抑制的に働くことが明らかになった。PD-1抗体は、PD-1とPD-L1の相互作用を阻害し、抗腫瘍免疫を増強させ、抗腫瘍効果を示し、PD-L1が高発現している腫瘍に対して有効であることが報告されている。PAX3-FOXO1陽性横紋筋肉腫ではPD-L1発現が高く、PD-1抗体が有効である可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫療法の効果を高めるバイオマーカーの同定について、免疫チェックポイント阻害剤の臨床応用を視野に研究が順調に進んでいる。小児がんにおける新規がん抗原ペプチドの同定は進んでおらず、やや遅れている、とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.免疫療法の効果を高めるバイオマーカーの同定 小児がんにおいてもPD-L1による腫瘍免疫逃避が働いていることが示唆され、免疫チェックポイント阻害剤の臨床応用を視野に入れた検討を進める。 2.小児がんにおけるがん抗原ペプチドの同定 樹状細胞とCD8陽性リンパ球の共培養により、抗原特異的CD8陽性リンパ球を培養する系を確立させ、融合遺伝子特異的がん抗原ペプチドの同定を目指す。 3.小児がんpreclinicalモデルでの免疫療法による抗腫瘍効果の証明 単核球と小児がん細胞株の共培養系が確立しており、この系を用いて検討を進める。小児がんにおける免疫療法による抗腫瘍効果について検討を進める。
|