2014 Fiscal Year Research-status Report
転写因子LMO1が制御するmicroRNAの同定による神経芽腫治療標的分子の探索
Project/Area Number |
26670510
|
Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
佐伯 宣久 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, 主任研究員 (80466200)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 神経芽腫 / がん遺伝子 / マイクロRNA / LMO1 / 創薬標的分子 / 転写調節因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において、LMO1遺伝子のコピー数の増加は予後の悪い高リスク群症例に多く見られ、同遺伝子がコードする転写調節因子LMO1は神経芽腫細胞の細胞増殖を促進する機能を持つがん遺伝子であることが明らかになっている。先行研究で実施したクロマチン免疫沈降―DNAシークエンシングにより、神経芽腫細胞SK-N-SHのゲノム上にLMO1の結合領域候補が相当数同定されていたが、本研究における解析の結果、その中に近傍にmicroRNA遺伝子が存在する結合領域候補が5か所あった。SK-N-SH細胞にLMO1発現抑制用のshRNAを導入し発現解析を行ったところ、これら5か所の近傍にあるmicroRNAのうち、一つのmicroRNA (hsa-miR-Xとしておく)の発現量が低下していたことから、このmicroRNAはLMO1により直接的に発現制御を受けることが示唆された。しかしながら、SK-N-SHにおいてhsa-miR-Xの発現を抑制しても細胞増殖速度には変化が見られなかったことから、このmicroRNAは少なくともLMO1の細胞増殖促進機能を媒介するものではない可能性が高いと判断された。また、前述のLMO1発現抑制下でのSK-N-SH細胞の発現解析により、LMO1の結合領域にはないが発現が抑制されているmicroRNAが複数同定された。これらは間接的にLMO1による発現制御を受けているものと推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当研究課題の遂行は当初予想していたより困難を極め、1年の研究期間内に十分な成果を出せず、研究補助事業期間の延長を申請するにいたった。
|
Strategy for Future Research Activity |
hsa-miR-XはSK-N-SHにおいてがん抑制的に機能する遺伝子の機能を抑制していると考えられることからこれらの遺伝子を同定する。また、前述のLMO1発現抑制下でのSK-N-SH細胞の発現解析により、がん促進的転写調節因子LMO1の働きにより間接的に発現が抑制されているmicroRNAが複数同定されており、この中にはがん抑制的機能を持つものが含まれていると期待される。がん抑制的機能を持つmicroRNAを同定し、さらにそれらが機能を抑制する遺伝子(がん促進的機能を持つことが期待される)を同定することにより、神経芽腫細胞で機能するがん促進的分子経路を明らかにし、その中に新規治療標的分子を探索する。
|
Causes of Carryover |
転写因子LMO1が発現を制御するmicroRNAの同定が予想よりも難航したため、研究の進捗が予定より遅れている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
LMO1が発現を制御するmicroRNAの中からがん促進的あるいはがん抑制的に機能するものを同定し、それらの関連する分子経路の中に治療標的分子を探索することから、必要な実験・解析の経費として使用する。また、本年4月の小児科学会で成果を一部発表したほか、9月の癌学会、12月の分子生物学会での発表を予定しており、また、学術誌での論文発表も予定していることから、これらの発表の経費として使用する。
|
Research Products
(1 results)