2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670522
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
島田 眞路 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10114505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 崇 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30402043)
猪爪 隆史 山梨大学, 総合研究部, 講師 (80334853)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メラノーマ / 治療抵抗性 / Timp3 / Nupr1 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究課題は、1,Activation induced cytidine deaminase(AID)遺伝子をマウス癌細胞株へ安定導入したトランスフェクタントの作製、2,トランスフェクタントにin vitro, in vivoでプレッシャーをかけ、治療抵抗性細胞株を採取すること、3,採取した治療抵抗性細胞株の遺伝子発現プロファイルを元の細胞株と比較すること、であった。まず、マウスB細胞からtotal RNA を抽出、cDNAを合成し、それを鋳型にしたRT-PCRによってAID遺伝子の蛋白コード部位をcDNAの形で単離した。この配列でレトロウイルスベクターを作成し、AID強制発現マウスメラノーマ細胞株B16(B16-AID)を作成した。強制発現前のB16はAIDを発現していないことも確認した。次に作成したAID発現B16メラノーマ細胞株にプレッシャーをかける方法として、B6マウスの皮下に接種してから行うワクチン治療モデル、およびin vitroでの無血清培地培養モデル、を実施した。B6マウスワクチン治療モデルでは皮下接種後にワクチンに抵抗して増殖したB16-AIDの遺伝子発現プロファイルを接種前のものと比較することで、メラノーマの免疫療法感受性(細胞障害性リンパ球感受性)に関与する分子としてTimp3を同定することができた。実際にヒト型のTimp3遺伝子をクローニングしてヒトメラノーマに強制発現すると、in vitro共培養の際のCTL感受性が低下することを証明した。またin vitroでの無血清培地培養モデルでは、メラノーマ細胞の生存に強く関わる分子としてNupr1を同定することができた。実際にヒト型のNupr1遺伝子をクローニングしてヒトメラノーマに強制発現すると、in vitroでの抗がん剤感受性が低下することを見いだした。今後はこれらの分子がヒトメラノーマの治療標的になりうるかの具体的検討、および多数の未解析候補分子を解析すること、である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究課題を進めるための最も基本的な部分であるマウスAID遺伝子の単離、ウイルスベクターへの挿入、各種マウスがん細胞株への導入システムの確立、を達成できた。まずはマウスメラノーマB16モデルでの実験を開始し、AID遺伝子導入による遺伝子不安定性をもたせることで、in vitro での過酷な培養用件、in vivoでの癌ワクチン療法それぞれに対する耐性を獲得しやすくなることを確認できた。さらにこれらのプレッシャーをかける前と後で遺伝子発現プロファイルが大きく異なっていること、差異が大きかった遺伝子をヒトメラノーマに強制発現させるとそれぞれのプレッシャーに対する抵抗性が有意に変化すること、が明らかとなった。メラノーマ以外の腫瘍、癌ワクチンや無血清培養以外のプレッシャー、AID遺伝子強制発現による遺伝子不安定性発現をエクソームシーケンスで確認すること、などの課題は残るが今回新たに試みた実験系によってメラノーマの治療抵抗性に関わる因子を効率よく同定出来ることが分かったため、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず研究実績の概要のところで記したTimp3, Nupr1について、それらがメラノーマ治療抵抗性を担うメカニズムの詳細を究明し、阻害方法の開発を行う。 次にTimp3, Nupr1以外の多数の候補分子についても、遺伝子単離、ヒトメラノーマ細胞への強制発現、ないしはノックダウン実験などによって、メラノーマ治療における治療標的となりうるか、の検討を進める。 さらにメラノーマ以外の腫瘍、癌ワクチンや無血清培養以外のプレッシャー、AID遺伝子強制発現による遺伝子不安定性発現をエクソームシーケンスで確認すること、なども行う予定である。
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Causes of Carryover |
解析すべき遺伝子が複数あるため、本年度内に十分に解析できなかった候補分子の解析を次年度以降に進めるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残った候補遺伝子のマウス、ヒト型をそれぞれクローニングし、レトロウイルスベクターを作成して強制発現実験を行うために、PCR試薬、トランスフェクション試薬を購入する。またT細胞などの免疫細胞への影響を評価するため、FACS用蛍光抗体、ELISA kit、などを購入する。これらのために、27年度請求額と合わせてしようする。
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Research Products
(3 results)