2014 Fiscal Year Research-status Report
うつ病の標準的な薬物療法における費用対効果に関する研究
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26670544
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山田 和男 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70255553)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | うつ病 / 自己記入式簡易抑うつ症状尺度(QIDS-SR) / EQ-5D / 質調整生存年(QALY) / 生活の質(QOL) / コスト / 増分費用対効果(ICER) / 費用対効果受容曲線(CEAC) |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の開始にあたって、東京女子医科大学の病院倫理委員会へ申請を行い、承認を得た(承認番号:140615)。 初年度(平成26年度)は、東京女子医科大学東医療センターの精神科外来と心療内科外来を研究の主たるフィールドとして、症例データ収集を中心に行う計画であった。倫理委員会の承認を得た後に研究を開始し、平成27年3月末日現在、エントリーした症例は2例であった。申請者(主任研究者)のほかにも、東京女子医科大学東医療センターの精神科と心療内科の初診外来を担当する5名の研究協力者を予定していたが、現在の研究協力者は、鎌形英一郎(精神科助教)、野田剛史(精神科)、山中学(心療内科准講師)、石川元直(心療内科助教)の4名である。また、研究開始後にも、協力を得られる医療施設がある場合には、研究施行施設を増やす計画を立てていたが、1ヶ所(国際医療福祉大学熱海病院精神科)から協力しても良いという申し出を受けている(現在、当該施設の倫理委員会に申請中である)。 研究計画では、研究開始時(エントリー時)、開始6週間後、開始3ヶ月後、開始6ヶ月後の4時点において、自己記入式簡易抑うつ症状尺度(QIDS-SR)、EQ-5Dを用いた質調整生存年(QALY)の算出、直接・間接コストなどの情報収集、副作用の有無、脱落の有無と理由等のデータの収集を施行する計画であった。エントリーした2症例は、いずれも研究開始時と開始6週間後の2時点において、データの収集を終えている。 今年度は、エントリーした症例数は少なかったものの、研究を開始することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ミルタザピン追加群とアリピプラゾール追加群の各群は、3年間でそれぞれ50症例程度を目標としていることから、達成度としては遅れていると考えられる。 理由としては、倫理委員会の承認を得るまでに時間を費やしたこと、退職等により研究協力者が少なくなったこと、協力医療施設が得られなかったこと、うつ病の初診患者が少なかったこと、エントリー可能な症例であっても研究参加の同意が得られなかったケースが多かったこと等が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策としては、当初の計画通りに進めていく予定である。 すなわち、平成27年度は、平成26年度に引き続き、症例データ収集を中心に行う。DSM-5のうつ病の診断基準を満たす症例のうち、文書による研究参加の同意が得られた者をエントリーさせる。対象症例をミルタザピン追加群とアリピプラゾール追加群の二群にランダム化し振り分け、エスシタロプラムによる6週間の標準的な初期治療を行う。6週後のQIDS-SRの施行の結果、寛解に至った患者については、さらにエスシタロプラムによる治療を継続する。寛解に至っていない患者に対しては、各々の薬剤(ミルタザピンまたはアリピプラゾール)追加し、治療を継続する。研究開始時(エントリー時)、開始6週間後、開始3ヶ月後、開始6ヶ月後の4時点において、QIDS-SR、QALYの算出、直接・間接コストなどの情報収集、副作用の有無、脱落の有無と理由等のデータ収集を施行する。また、平成26年度にエントリーした2症例についても、開始3ヶ月後、開始6ヶ月後のデータ収集を行う。 平成28年度も、平成26年度、平成27年度に引き続き、原則として症例データ収集を中心に行うが、症例数が目標数を達成し、研究データが得られた時点で、研究代表者がコンピューターによるシミュレーションを利用し、増分費用対効果(Incremental Cost-Effectiveness Ratio:ICER)のブートストラップ推定を行う。アプリケーションは、IBM社のSPSSとブートストラップ法モジュールを用いる。増分費用と増分効果のペアを点で描く散布図と、それを利用し描出する費用対効果受容曲線(Cost-Effectiveness Acceptability Curve:CEAC)を用いて結果を示す。
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Causes of Carryover |
増分費用対効果(ICER)のブートストラップ推定や費用対効果受容曲線(CEAC)を描出するためのコンピューターソフトのバージョンアップが近日中に行われるという情報を得たため、当該コンピューターソフトの購入を控えたことが、次年度使用額を生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
なお、当該コンピューターソフトは、バージョンアップを確認した後に、平成27年度に購入予定である。
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