2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 憲明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90203710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権田 幸祐 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80375435)
多田 寛 東北大学, 大学病院, 講師 (50436127)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 癌イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、in vitroおよびin vivoの両面から、Auを材料とした造影剤開発を進めた。Au/PEGの濃度あたりのCT値を測定した結果、従来臨床で使用されているヨード系造影剤のおよそ3倍程度の造影効果があることが分かった。このことは従来よりも低用量で同等の造影効果が得られることを示唆し、副作用軽減の観点からも注目する結果であると考えられる。次に癌組織特異的な高感度造影剤を開発するために、適切な粒子合成の方法を担癌マウスの造影効果を指標に検討した。Auナノ粒子の造影能および体内動態の解析を行うために動物実験用Auナノ粒子であるAurovistを購入し、担癌マウスに投与することで比較用のデータを採取した。AurovistはEPR効果によって、腫瘍特異的な造影効果を示した。そこで、Auナノ粒子の粒径の違いが癌の造影効果に及ぼす影響を検討するために、Aurovistより大粒径のAu/PEGナノ粒子を作製し投与した。しかしマウスの致死的結果のため、血液滞留性および腫瘍の特異的造影効果を観察することが困難であった。作製粒子の透過型電子顕微鏡観察では強く凝集したAuナノ粒子が観察されたことから、マウス体内で粒子の凝集による循環不全が起こり、死亡の原因になったと考えられた。作製粒子の凝集反応を防ぐためにAuナノ粒子へのPEG修飾のタイミングの調整や濃度調整を検討中である。また、Auナノ粒子が従来の造影剤と比べリンパ節特異的な造影効果があることが研究計画を実施する中で明らかとなった。Auナノ粒子に適切な修飾を加えることにより、リンパ節転移した癌を特異的に検出できる可能性が示唆されたため、X線CTを用いたリンパ節画像解析を行っている。EPR効果を利用した癌特異的イメージングとともに担癌マウスのリンパ節転移モデルを用いて癌転移領域とAuナノ粒子の造影特性との相関性も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
良好な血液滞留性を保持するナノ粒子造影剤の開発には至っていないが、改善すべき問題点が明確になっており、今後の開発の加速が期待できる。また計画実施の中で、造影剤のリンパ節イメージング能の可能性を新たに見出すことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
開発粒子によるEPR効果を用いた癌の特異的造影効果が粒子凝集問題のために滞っている一方で、EPR効果を用いない癌転移リンパ節造影の有用性が実験結果から示唆されており、癌組織を特異的に造影する新たな高感度造影剤を開発する目的から、粒子の表面修飾の検討を継続して行い、血液滞留性の向上を目指すと同時に粒子の癌転移リンパ節の特異的造影効果についてのX線CT画像評価、解析を行っていく予定である。
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