2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26670546
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 憲明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90203710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権田 幸祐 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80375435)
多田 寛 東北大学, 大学病院, 講師 (50436127)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 金ナノ粒子 / EPR効果 / 血液滞留性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は前年度に引き続きAu/PEGナノ粒子開発を進めるとともに、粒子の電子顕微鏡による形態学的観察と組織内での局在観察と体内動態評価を行った。作製した粒子は電子顕微鏡にて球状の30nmの粒径を持つ粒子であった。このAu/PEGをマウス尾静脈に投与し、CTにて経時的な臓器造影効果を測定した。その結果Au/PEGの血中半減期はおよそ24時間程度と長時間血管内に滞留することが明らかとなった。このことは腫瘍血管から徐々に血管外へと漏出する時間が増えることに他ならず、EPR効果を高めることに有効であると考えられた。また、投与されたAu/PEGは徐々に肝臓、脾臓といった網内径臓器に蓄積されて最終的には血液滞留性が失われることが明らかとなった。臓器に蓄積されたAu/PEG粒子は観察した数週間の期間内に代謝排泄されることはなかったが、投与マウスの一般状態、体重変化や摂食量、活動性に変化を認めず明らかな毒性は認めなかった。続いてこの作製粒子を担癌マウスに投与しCT撮影を行い腫瘍の造影効果の観察を行った。その結果腫瘍の外側層から徐々に造影される様子が観察された。このことから腫瘍外側の新生血管から最も効率よくEPR効果があると考えられ、また、腫瘍内部の造影されない領域には比較的血流が乏しいことを明らかにした。実際の腫瘍内の粒子分布を観察するために腫瘍組織を電子顕微鏡で観察した。その結果腫瘍新生血管から漏出するAu/PEG粒子が観察され、CT画像の観察結果と一致することを明らかにした。また、学会活動や様々な専門領域の研究者とのディスカッションを積極的に行うことで腫瘍に特異的な抗原に対する抗体をAu/PEG粒子に担持させることでより効果的に腫瘍の造影効果を高めるのではないかとの研究内容を推進する知見を得た。これを踏まえて更に粒子の修飾を含めた開発を行っていく予定である。
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