2015 Fiscal Year Annual Research Report
感温性磁性体と薬剤含有基剤を併用した新しい温熱化学療法
Project/Area Number |
26670574
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
齊藤 元 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20323149)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 磁性体 / がん / 温熱療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在のがん治療は,外科治療含めがんのみでなく正常組織にも傷害を及ぼす.また切除不能進行がんでは対症療法しか残されておらず,QOLを考慮した低侵襲治療が望まれる.これらを克服するため多くの低侵襲治療が考案・研究され,43~45℃近傍でアポト-シスが誘導され抗腫瘍効果を示す温熱治療もその一つである.我々は従来から継続研究している磁場印可によりキュリー点で発熱が自動停止する感温性磁性体を用い,各43℃,44℃,45℃のキュリー温度に対応した融点を持つ基剤(薬剤封入)に含有させ作成した多段階温度設定薬剤含有磁性体の開発を目的として,当該研究期間で以下の成果を得た. 抗がん剤であるPTX(30µM),DTX(30µM) は基剤に混入可能であり,それぞれに対応するキュリー点(各々43℃,44℃,45℃)を有する感温性磁性体を混合した結果,磁場印可に引き続くキュリー点での自動定温加温により30分で基剤の溶解と薬剤の放出が確認できた.さらにマウスメラノーマ細胞(B16)を用いた細胞培養実験において,我々の開発した感温性磁性体による自動定温温熱療法と基剤放出に対応するPTX, DTX同等量抗がん剤(各々30µM)との併用でも,磁場印可に引き続く各キュリー点(各々43℃,44℃,45℃)自動定温加温により同様の温熱増感作用と抗腫瘍効果が確認できた.今後,感温性磁性体を用いたがん治療可能性の追求には,動物実験含めさらなる検討が必要と考えられた.
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