2014 Fiscal Year Research-status Report
癌吸入療法:肺内リンパ組織新生を利用した抗腫瘍ワクチンの新たなプラットフォーム
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26670579
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 雅昭 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00623109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛受 暁史 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30527081)
青山 晃博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60379047)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌ワクチン / 粘膜免疫 / 肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究では、既に確立されていた、免疫能が正常なwild type マウスを用いた同所性マウス肺癌モデルを使って、癌吸入療法の有効性を示した。つなり、吸入用がんワクチンとして、蒸留水で死滅させた癌細胞とBCGを混合したものを、制御性T細胞を減少させるとされる低用量のcyclophosphamideと併用することで、担癌マウスの有意な生存延長、体重減少の抑制を得た。またluciferase発現癌細胞を用いた同様の実験により、癌吸入療法が癌細胞の肺内での成長が抑制されている結果が得られた。 また、さらに詳細な研究として、cyclophosphamideが実際に担癌マウスの末梢血において制御性T細胞を減少させること(担癌でない無介入のマウスではこの効果は認められなかった)、吸入用ワクチンによって、末梢血中のリンパ球のIFN-γ産生能が上がることが確かめられた。 これらの結果は癌吸入療法が実際に、期待通りのメカニズムによって肺癌の成長を抑制し、担癌マウスの生存を延長していることを示唆している。 さらに興味深いことに、予備実験では皮下に打ち込んだ癌細胞の成長も、同様の癌吸入療法によって有意に抑制する可能性が示唆されている。これは、癌吸入療法が肺内の肺癌だけでなく他部位の癌に対しても、気道粘膜免疫の惹起を介して抗腫瘍効果を示す可能性を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癌吸入療法のproof-of-conceptとしては十分な成果をあげることができた。一方、癌吸入ワクチンが気道粘膜免疫を惹起しているというデータは未だなく、抗腫瘍効果を発揮しているメカニズムを解析するのが次のステップとして重要であると思われる。また、成果を論文としてまとめ、本治療法の最初のpublicationを出すところまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はさらにこれらのメカニズムを追及するとともに、得られた成果を論文として公表することを目標としている。 メカニズムの追及については以下の3点を具体的な実験項目・達成目標とする。 ① 癌吸入ワクチンを投与された個体の気道粘膜における病理組織変化、dendritic cellの動態などを調べる② 癌吸入ワクチンを投与された非担癌、担癌マウスの末梢血および肺内のTリンパ球のIFN-γ産生能をin vitroで調べる。③ 上記細胞のin vitroでの殺細胞性を、元となる癌細胞および3rd partyとなる癌細胞株との共培養を使って調べる。 論文 (1st paper)については、すでにdraftができているが、実験の一部に不備が見つかったため、再現実験を現在行っており、この結果が出次第投稿可能となる見込みである(7-8月頃の予定)
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