2014 Fiscal Year Research-status Report
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26670586
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
渡辺 太治 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20448723)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / 細胞内移植 / TATペプチド / 虚血再灌流障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜透過ペプチドであるTATペプチドとデキストランを用いてTATデキストラン複合体の作成を行い、単離したミトコンドリア表面の修飾を行った。10,000-460,500の分子量のデキストラン分子とTATペプチドを用いてTATデキストラン複合体を作成した。作成したTATデキストラン複合体を単離ミトコンドリアと反応させ、ゼータサイザーを用いてゼータ電位の測定を行った。結果、TATペプチドを重量比3.25倍の分子量40,000のデキストラン分子に結合させたTAT-デキストラン複合体を用いることにより、効率的に単離したミトコンドリアが持つ陰性表面電荷を中和できることが明らかになった。このTAT-デキストラン複合体で修飾を行った単離ミトコンドリアをヒト間葉系細胞株やラット胎児心筋細胞と共培養を行い、細胞内に移行した外来性ミトコンドリアをフローサイトメーターを用いて定量を行った。その結果、単離ミトコンドリアのみと共培養を行った場合と比較して、細胞内に有意に多くの外来性ミトコンドリアが取り込まれることが明らかになった。 次にミトコンドリア障害モデルとして、in vitroでのラット胎児心筋細胞を用いた虚血再灌流障害モデルを用いて実験を行った。単離ミトコンドリアのみの投与によっても障害は軽減される傾向にあったが、統計学的には有意な効果ではなかった。一方、作成したTAT-デキストランで修飾した単離ミトコンドリアの投与では、有意に心筋細胞のアポトーシスが減少し、関連する遺伝子発現も有意に変化していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TATデキストラン複合体を作成し、単離したミトコンドリアへ修飾を行うことにより、単離ミトコンドリアの負の表面電荷を中和することに成功した。またin vitroでは、この修飾により、細胞内へ移行するミトコンドリアを有意に増加させることが可能となり、虚血再灌流障害モデルにおいて細胞死を軽減することが明らかになった。現在は動物モデルを用いた実験を開始しており、概ね順調に計画は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はin vivoでの疾患・治療モデルとして、心筋虚血・再灌流障害のモデル動物を対象に研究を実施する予定をしている。障害発生時にTAT-デキストランで修飾した単離ミトコンドリアを投与することによって、障害部位の細胞に取り込まれたミトコンドリアの量、投与によってもたらされる臓器保護効果について検証する。この際に投与量や投与方法、投与時期に関しても最適な条件に関しても検討を行う予定である。
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Research Products
(2 results)