2014 Fiscal Year Research-status Report
進行上部消化管癌における血中遊離核酸、エクソソームの解析
Project/Area Number |
26670597
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松原 久裕 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20282486)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食道癌 / 胃癌 / エクソソーム / テトラスパニン |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト食道癌細胞株(TE2, T.Tn)、当科にて凍結保存した食道癌、胃癌患者血清、血漿および胃癌患者腹水、胃癌手術時腹腔内洗浄液からのエクソソーム抽出を試みた。胃癌手術時腹腔内洗浄液に対するエクソソーム抽出ならびに解析のため同検体の手術時における採取を行い、約30例の収集を実施し-80℃に保存した。同検体に関して超遠心法にてエクソソーム抽出を試みその確認を行ったが、その後の解析に耐える量のエクソソームは抽出しえなかった。一方、血清および血漿においては検体により十分な量のエクソソームの抽出が可能であることを明らかにした。さらにマイクロRNAの検出もRT-PCR法にて確認した。 また、エクソソームのマーカーとなるtetraspanin(CD9、CD63、CD81、CD151)に着目し検討を進めた。胃癌および食道癌の手術標本の免疫染色を行い、特にCD63に関しては胃癌・食道癌双方における癌部での発現を確認した。このエクソソーム特異的マーカーCD63を緑色蛍光タンパクで標識するため、ヒト食道癌細胞株(TE2)に対してエレクトロポレーション法によりプラスミド(CYTO120-PA1, System Biosciences)を導入し、細胞内での発現を蛍光顕微鏡を用いて確認し得た。この細胞を用いて、エクソソームを介した細胞間情報伝達の可視化を、in vitro, in vivo両面から検討を進めている。このエクソソーム特異的な表面マーカーであるCD63で免疫染色を行い、当科にて切除された食道癌における検討では癌部は非癌部に比して濃染することが明らかとなった。 さらに胃癌細胞株のヌードマウスへの腹腔内接種による腹膜播種モデル、食道癌細胞株のヌードマウス皮下腫瘍モデルを作成、in vivoでの解析の検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト食道癌細胞株(TE2, T.Tn)、当科にて凍結保存した食道癌、胃癌患者血清、血漿および胃癌患者腹水、胃癌手術時腹腔内洗浄液からのエクソソーム抽出を試みた。胃癌手術時腹腔内洗浄液に対するエクソソーム抽出ならびに解析のため同検体の手術時における採取を行い、約30例の収集を実施し-80℃に保存した。同検体に関して超遠心法にてエクソソーム抽出を試み、タンパク濃度測定やwestern blotting、EXOCETによる抽出確認を行ったが、その後の解析に耐える量のエクソソームは抽出しえなかった。一方、各患者より採取した血液よりエクソソームを分離し、DNA, miRNA、ncRNA,小分子などの解析を行うことに関しては、血清および血漿においては検体により十分な量のエクソソームの抽出が可能であることを明らかとした。また、従来当科で手術標本による解析により検討を進めてきたマイクロRNAの検出も可能であった。 胃癌および食道癌の手術標本の免疫染色を行い、エクソソームのマーカーとなるCD63に関しては胃癌・食道癌双方における癌部での発現を確認した。このエクソソーム特異的マーカーであるCD63を緑色蛍光タンパクで標識するため、ヒト食道癌細胞株(TE2)に対して導入し、細胞内での発現を蛍光顕微鏡を用いて確認し得た。この細胞を用いて、エクソソームを介した細胞間情報伝達の可視化がin vitro, in vivo両面から可能となった。また、このエクソソーム特異的な表面マーカーであるCD63は当科にて切除された食道癌における検討では癌部は非癌部に比して強く発現していることが明らかとなった。 一方、エクソソームに労力を集中したたため同時に今年予定していた血中遊離核酸の同定、解析が十分に進んでいない。また、マイクロRNAの検出は確認できたが時間的制限によりそのエピジェネティックな制御に関する検討が未だ進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
食道癌・胃癌患者における血中遊離核酸の同定、解析を継続して進める。同時に食道癌・胃癌患者における血中エクソソームの分子解析に関しても本年度同様、継続して進めていく。この2者の解析から 遊離核酸とエクソソーム内分子との関連性の検討を行う。 さらにこれまで明らかにしてきたマイクロRNAなどの分子を中心に、同定された遊離核酸とエクソソームから回収したmiRNAに関し次世代シークエンサーによる遺伝子変異の検討を行う。また、患者から分離したエクソソームからさらにmiRNAを回収し、これまで当科でエピジェネティック制御に関連すると報告してきたヒストンのアセチル化やmiRNA各分子との関連、さらに同定されたmiRNAの細胞内におけるシグナル伝達に関し、EMTに関連するFra-1を中心に解析を進める。 さらに同定されたエクソソームの食道癌培養細胞株における分子輸送への関与( in vitro)の検討を進める。エクソソーム特異的マーカーCD63を緑色蛍光タンパクで標識導入した食道癌培養細胞を用いて、、エクソソームを介した細胞間情報伝達の可視化を、in vitro, in vivo両面から検討を進める。さらに各患者より採取した血液より分離したエクソソームによる食道癌培養細胞への分子輸送に与える影響に関し、解析を進める。さらに胃癌細胞株ヌードマウス腹腔内接種による腹膜播種モデル、食道癌細胞株(のヌードマウス皮下腫瘍モデルを作成によりin vivoでの解析を進める。 臨床における病期ならびに抗がん剤、放射線などの治療感受性の検討ならびにこれまで当科にて治療された食道癌、胃癌患者で採取、保存された検体における予後に関する後ろ向き解析し、同定された分子と病期・転移との関連性における臨床病理学的検討を行う。
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Research Products
(4 results)