2014 Fiscal Year Research-status Report
大腸発がんにおいて、低酸素・低栄養環境とゲノム不安定性とが作る負のスパイラル
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26670611
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
椎葉 健一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (90196345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島 礼 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (10196462)
田沼 延公 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 主任研究員 (40333645)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 大腸がん / 低酸素 / 低栄養 / ゲノム不安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、大腸上皮の多段階発がんにおける、「低酸素・低栄養といった特有の微小環境における代謝特性」と、「ゲノム不安定性」との間の相互作用について検討することを目的に、研究をすすめた。その結果、平成24年度は、以下のような結果が得られている; 1)がんに特徴的な代謝異常である“ワールブルグ効果”との関連が深い、解糖系の律速酵素の一つ、ピルビン酸キナーゼM(PKM)のアイソザイム変換を不可能とした遺伝子改変マウス(PKM1ノックインマウス、およびPKM2ノックインマウス)から上皮細胞を単離し、解析を行った。マトリゲル上での3次元培養により、これら細胞を長期にわたって増殖維持することができた。長期培養後も、それら細胞では、EGF依存性が保たれていた。そこで、それら細胞に、SV40 T抗原、活性化型Kras、活性化型EGFRをコードするcDNAを、ウイルスベクターを用いて導入した。感染陽性細胞の選択と保存が完了したところであり、今後、それら細胞の表現型解析を行う。 2)DNA修復に関与する6型プロテインホスファターゼ(PPP6C)遺伝子ノックアウトマウスに関しては、薬剤投与によってPP6欠損を誘導できる細胞を作製したものの誘導効率に問題があったが、ウイルスベクターを用いてCreリコンビナーゼを発現させることにより、PP6欠損を効率よく誘導できるようになった。現在、DNA損傷修復系解析のための条件最適化(UV・放射線照射量、抗がん剤量等)を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異マウス同士の交配が十分に行えなかった点や、解析機器の導入遅れが生じた点があるものの、その他の点で当初の計画以上に進展した箇所もあり、区分「2」とする。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初計画に沿って研究を推進する。
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Causes of Carryover |
消耗品費が、予想よりも少額で済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究をより円滑に推進するため、消耗品費を計画よりも増額する。
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