2014 Fiscal Year Research-status Report
高感度の変異解析技術を用いた膵臓がんの早期診断法の開発
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26670613
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
谷内田 真一 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (20359920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵臓がん |
Outline of Annual Research Achievements |
国立がん研究センター中央病院で保存されている膵臓がん患者の血漿を研究試料とした。さらに、EUS-FNAの直前に上部消化管内視鏡下に収集した洗浄十二指腸液も研究サンプルとした。高感度の次世代デジタルPCR(RainDrop)を用いて、膵臓がんに高頻度に変異が認められるKRAS変異をターゲットとしたマルチプレックスのアッセイ系を確立した。血漿中ならびに洗浄十二指腸液中の遊離DNAを抽出する系を確立した。 血漿を用いた解析では、2mLの血漿から約20ngのDNAを抽出することが可能であった。UICC-stage別のKRAS変異の検出感度は、stageIVで約半数の症例で検出可能で、さらに遠隔臓器に転移を有する患者において高頻度にKRAS変異を検出した。しかし、手術症例においては、KRAS変異が検出出来たのは108例中で9例のみであった。 洗浄十二指腸液を用いた解析においては、遠隔転移を有さない患者においても洗浄十二指腸液中にKRAS変異が検出可能であった。特に、セクレチンを負荷した洗浄十二指腸液においてKRAS変異の検出頻度が高い傾向がみられた。その一方で、洗浄十二指腸液はサンプル間でDNA量や検出感度に大きなばらつきがみられ、現在、安定した解析に向けたプラットホームを作成中である。さらに、現在使用しているRainDropの他に、BEAMingや次世代シークエンス技術を用いた解析を行い、その感度について比較検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血漿ならびに洗浄十二指腸液を研究試料とした、高感度の次世代デジタルPCRを用いて、膵臓がんに高頻度に変異が認められるKRAS変異をターゲットとしたマルチプレックスのアッセイ系を確立して、解析が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
血漿を用いた遊離DNAの解析では、早期発見は困難であると考えられるため、今後は、研究の対象試料を、血漿から洗浄十二指腸液などにシフトし、安定した解析系の確立を目指す予定である。
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Causes of Carryover |
研究は計画通りに進み、予定通りに予算を執行したが、わずかに残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験で使用する消耗品に使用する予定である。
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