2015 Fiscal Year Annual Research Report
高感度の変異解析技術を用いた膵臓がんの早期診断法の開発
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26670613
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
谷内田 真一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所がんゲノミクス研究分野, ユニット長 (20359920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膵臓がん |
Outline of Annual Research Achievements |
膵臓がんでは、これまでに手術検体を用いた大規模なゲノム解析研究により、KRAS、CDKN2A、TP53、SMAD4/DPC4の4つの遺伝子異常が高頻度に認められることが明らかとなっている。そのうち、KRAS遺伝子の突然変異は発がん過程の最初に生じるゲノム異常であり、膵臓がん患者の95%以上がKRAS変異を有している。さらに膵臓がんの場合、KRAS変異は4つのパターン(G12D、G12V、G12RとG13D)で約90%を占める。これらの分子遺伝学的な特徴を利用して、血漿中のがん由来遊離DNA(cell-free DNA, cfDNA)をRainDance社のRainDrop droplet digital PCR(ddPCR)を用いて、これらの4つのKRAS変異とWild typeを同時に検出するKRAS 5-plex ddPCR assay系を構築した。 膵臓がんを研究対象疾患とし、バイオバンクに保存されている259例の血漿を研究試料とした。血漿量としては0.25 mLを用いた。KRAS変異の検出率と臨床・病理学的な因子との関連性について検討を行った。259例のうち、83例(32%)でKRAS変異を認めた。KRAS変異のパターンは、COSMIC・データベースと一致し、KRASコドン12の1. G12D、2. G12V、3. G12Rの順に高頻度であった。KRAS変異の検出率は臨床病期が進むにつれて上昇し、UICC Stage IVでは43.5%(57/131例)であった。特に、遠隔転移を有する患者においては58.9%(63/107例)でKRAS変異を検出した。259例のうち手術適応となった108例では、9例(8.3%)においてのみKRAS変異が検出された。これらの9例のうち5例は手術後6ヶ月以内に遠隔転移を示した。ddPCRを用いた本解析系において、現時点では、血漿中cfDNAのKRAS変異は遠隔転移と強い相関をしたが、早期診断にはさらなる研究開発が必要と考えられる。具体的には、1. 血漿量の増量、2. ddPCRの検出感度の向上などの機器改良や、3. 対象とする研究試料の変更などの改善が必要と考察した。
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[Journal Article] Clinical utility of circulating tumor DNA for molecular assessment in pancreatic cancer2015
Author(s)
Erina Takai, Yasushi Totoki, Hiromi Nakamura, Chigusa Morizane, Satoshi Nara, Natsuko Hama, Masami Suzuki, Eisaku Furukawa, Mamoru Kato, Hideyuki Hayashi, Takashi Kohno, Hideki Ueno, Kazuaki Shimada, Takuji Okusaka, Hitoshi Nakagama, Tatsuhiro Shibata, and Shinichi Yachida
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 5
Pages: 18425
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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