2015 Fiscal Year Research-status Report
悪性胸膜中皮腫細胞の細胞ストレスからの回避機構としてのRNA編集
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26670624
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加賀 基知三 北海道大学, 大学病院, 講師 (80224335)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト悪性胸膜中皮腫細胞はRNA編集をうけた小胞体・ゴルジ体間のタンパク質輸送に関わる被覆小胞複合体を構成するタンパク質のひとつであるCOPA遺伝子産物を数%産生しており,本プロジェクトでは,発現ベクターを利用してRNA編集型と未編集型のCOPA遺伝子産物の機能の違いを検討するために,ヒト悪性胸膜中皮腫細胞にし,それぞれの遺伝子を過剰発現させて腫瘍生物学的性状を観察した.その結果, COPAのRNA編集の方にかかわらずいずれを過剰発現させ他場合も悪性中皮腫細胞の増殖は親株に比べて低下した。また,細胞運動能や浸潤能は,どちらのCOPAを過剰発現させても変化しなかった. 編集型COPAの発現を制御する細胞ストレスを見出すために悪性中皮腫細胞を低密度から高密度の異なる細胞密度で培養したところ,高密度で編集型COPAの産生が増加した.1%O2の低酸素条件下では,編集型COPAの産生が増加することはすでに見出していたが,今回はさらに低酸素かつ低グルコース,あるいは低酸素かつ高グルコース条件下で培養すると悪性胸膜中皮腫細胞の編集型/未編集型COPAの産生比を検討したが,この産生比はグルコース濃度異存しないことが明らかになった. A-to-I RNA編集を触媒する酵素には,Adenosine Deaminase, Acting on RNA(ADAR)-1とADAR-2が知られている.これらのいずれがCOPA mRNAの編集に携わっているのかを,siRNAを用いていずれかの酵素の発現を抑制し,編集型/未編集型COPAの産生比を解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス胸腔内に移植して形成された腫瘍組織切片を作成してHIF-1αとCarbonic anhydrase 9 (CA9)を免疫染色で検出した.mRNAを解析可能なクオリティでレーザーマイクロダイセクションによってHIF-1α/CA9陽性領域を回収することに難渋した.
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Strategy for Future Research Activity |
プロトコールの見直しによってmRNAを解析可能なクオリティでレーザーマイクロダイセクションを行えるようになったため,再度免疫不全マウスの腫瘍から組織切片を作製し,組織切片からRNAを回収して編集型/未編集型COPAの産生比を調べる予定である.
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Causes of Carryover |
マウス胸腔内に移植して形成された腫瘍組織切片を作成してHIF-1αとCarbonic anhydrase 9 (CA9)を免疫染色で検出した.mRNAを解析可能なクオリティでレーザーマイクロダイセクションによってHIF-1α/CA9陽性領域を回収することに難渋したために,遺伝子発現解析用の逆転写酵素,cDNA合成キット,リアルタイムPCR用試薬など分子生物学的試薬の購入が減じて未使用金が発生した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
HIF-1αとCarbonic anhydrase 9 (CA9)の免疫染色を行い共陽性領域を回収して,レーザーマイクロダイセクション検体から核酸を抽出し,編集型および未編集型COPA mRNAの解析を行う.上記の未使用金は遺伝子発現解析用の逆転写酵素,cDNA合成キット,リアルタイムPCR用試薬など分子生物学的試薬の購入にあてて編集型/未編集型COPAの産生比の解析を行う.
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