Outline of Annual Research Achievements |
【目的】膠芽腫の診断はこれまでの形態診断から遺伝子・タンパク発現に基づく分子診断に移行しつつある。タンパク質の絶対定量値を取得できる独自のプロテオミクス技術を用いた新規の膠芽腫サブタイプ分類の樹立を試みた。 【方法】初発膠芽腫43例の摘出検体から細胞膜画分を調製した。液体クロマトグラフィー接続型タンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いた絶対定量プロテオミクスにより、各症例における13種類の膜型TKについて絶対発現量プロファイルを得た。 【結果】定量可能であったEGFR, ERBB2, PDGFRα, PDGFRβ, VEGFR1, CD33, CD37, c-kitのうち相互排他的な発現パターンを示すEGFR, ERBB2, PDGFRαに着目し、初発膠芽腫をEGFR群25例、PDGFRα群11例、ERBB2群7例に分類した。それぞれの群の特徴は年齢(平均:66.0, 62.8, 58.4歳)、性別(男/女:16/9, 8/3, 5/2)、術前KPS(中央値:75, 70, 90)、摘出率(平均%:91.9, 77.7, 92.0)、IDH1(wild/mutant:21/4, 9/2, 7/0)、MGMT promoter(メチル化型/非メチル化型:12/13, 6/5, 3/4)であった。PFS中央値はそれぞれ8.3, 12.8, 37ヶ月で、OS中央値はそれぞれ16.1, 17.9, 25.7ヶ月であり、ERBB2群でPFS, OSが延長する傾向があった。 【結語】絶対定量プロテオミクスによるTKの絶対発現量に基づいた膠芽腫のサブタイプ分類は臨床的悪性度と相関しており有用であると考えられた。
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