2014 Fiscal Year Research-status Report
脳悪性リンパ腫のトランスクリプトーム解析による融合遺伝子・非コードRNAの探索
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26670646
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山中 龍也 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20323991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 淳 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60389319)
早野 あづさ 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (10379018)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中枢神経原発悪性リンパ腫 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
高速シークエンス技術の進歩により、がんを含めたヒトゲノムの大量解読がようやく実現可能となり、これまで明らかにされていなかった新しいがん関連遺伝子の発見やがんゲノムの詳細な理解が進んでいる。がんにおける体細胞突然変異には様々なものが知られており、点突然変異・染色体コピー数変化(遺伝子増幅や欠失)・染色体再構成(転座など)といったものがある。また最近、長鎖ノンコーデイングRNA(lncRNA)・mid-size RNA・micro RNA(miRNA)などと癌との関連が次々と明らかにされ注目されている。 中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)は中枢神経系に原発する節外性非ホジキン型リンパ腫で、多くはB細胞リンパ腫である。しかし、全身性に発生する瀰漫性大細胞性B細胞リンパ腫とは遺伝学的に異なるものと考えられている。全身性リンパ腫に関しては、cyclin-D1/IgH,BCL-2/IgH,API2/MALT1,BCL-10/IgH,c-MYC/IgH,NPM/ALKなどの再構成遺伝子が報告され、リンパ腫の病型分類にも利用されている。一方で、PCNSLに対する再構成遺伝子、miRNAを含むノンコーデイングRNAに関する知見に乏しい。中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)の腫瘍組織を高速シーケンサーを用いてトランスクリプトーム解析を行い、PCNSLで特異的に発現している融合遺伝子やlncRNA・mid-sizeRNA・miRNAを含む非コードRNAなどの新規転写産物の同定および既知の転写産物の定量を進行中である。疾患特異的なマーカーを探索し、この分子を標的とする新たな診断技術・分子標的療法の開発を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)30症例の組織からRNAを抽出して、高速シーケンス解析を用いたRNA seq(トランスクリプトーム)解析を進めている。今後、データ解析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析から染色体再構成、lncRNAについてはHuman Body Map lincRNAs, lncrnaDBなどのデータベースを用いて解析し、既知のものはRNAの定量、また新規のRNAを探索する。さらにvalidation set100例のホルマリン固定パラフィン切片からDNA/RNAを抽出し、遺伝子再構成分子の確認をPCR法にて行う。全体の症例に対する発現頻度を算出する。融合遺伝子を蛋白発現ベクターにクローニングを行い、NIH3T3細胞に導入し、コロニー形成能、キナーゼドメインのリン酸化状態を評価する。さらに、脳リンパ腫のHKBML細胞株に融合遺伝子を導入し、SCIDマウスの皮下、脳内に移植し、その病理組織像について検討する。得られた標的から分子標的創薬を進める。
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Causes of Carryover |
高速シークエンス解析の費用が予定より少なく済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度の解析研究に使用予定である。
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