2014 Fiscal Year Research-status Report
有尾両生類の高度な関節軟骨再生能の解明と哺乳類への応用法の検討
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26670655
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
筑田 博隆 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30345219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山神 良太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00722191)
武冨 修治 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70570018)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有尾両生類 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で対象としている有尾両生類の一種であるアホロートルは高度な組織再生能を持っており、ヒトを含む哺乳類では殆ど再生しない関節軟骨に関しても、関節軟骨全層に至る大きな欠損をも元通りに修復する能力を有している事が先行研究で示されている。本研究では、このアホロートルの高度な関節軟骨再生能を解明し、哺乳類の関節軟骨再生に有用な知見を得る事を目標としている。 研究の第一段階として、アホロートルで関節軟骨再生が生じる際にどのような遺伝子が働いているかを探るため、網羅的遺伝子発現解析を行う。そのために、本年度はまず、アホロートル関節軟骨再生モデルの作製を試みた。先行論文を参考に、アホロートルに対して顕微鏡下で大腿骨遠位膝関節の内側半分を切除する手術を行った。その後、2週間おきにサクリファイスして膝関節を採取し、固定、脱灰、パラフィン包埋、薄切を行った。その後、ヘマトキシリン・エオジン染色を行って顕微鏡下で観察した。それにより、関節軟骨切除後、切除部位周囲がまず関節軟骨最表層細胞に似た繊維芽細胞様の細胞で満たされ、次第に関節軟骨細胞様の細胞に置換されていく様子が観察出来、膝関節切除後に関節軟骨が再生していく過程の観察を行う事が出来た。また、アホロートルでの遺伝子発現解析のため、RNA抽出精製、逆転写、リアルタイムRT-PCRを行う実験系を構築した。現在、適切なサンプリング時期の検討・また、再現性のあるサンプル採取の方法を検討している段階である。精度の高いサンプルを得る事が出来たら、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行い、関節軟骨再生に重要な役割を果たしていると考えられる遺伝子や代謝パスウェイの同定を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は再生関節軟骨のlaser microdissectionを行って網羅的遺伝子発現解析を行う予定であった。しかし、再生関節軟骨と未切除の関節軟骨との境界が不明瞭であった事もあり、laser microdissectionに最適なサンプリング部位を見出す事が困難であったため、まだ網羅的発現解析を行っていない段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
組織学的に解析を進め、最適なサンプリング部位を見出す。場合によってはlaser microdissectionではなく、再生した部分と未切除な部位を含めた関節軟骨全体を用いて網羅的発現解析を行い、続いてin situ hybridizationや免疫染色を行う事によって、再生関節軟骨に特徴的な遺伝子発現パターンを見出す。
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Causes of Carryover |
laser microdissectionに最適なサンプリング部位を見出す事が困難であったため、網羅的発現解析を行うに至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関節再生メカニズムのin nitro解析にかかる諸経費、試薬など。
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