2015 Fiscal Year Annual Research Report
骨吸収抑制・骨形成促進バイファンクショナル高分子医薬の創製
Project/Area Number |
26670656
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 雅 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60401072)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 骨代謝 / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らのこれまでの検討から、骨芽細胞表面に発現しているRANKLは、成熟破骨細胞から分泌されるRANK含有エクソソーム小胞と結合して刺激を受容し、骨芽細胞内にシグナルを発生して骨形成を促進することが見出され、カップリングを構成する分子機構の1つであると考えられる。また、RANKL骨芽細胞内シグナル発生においては、エクソソームによるRANKLの架橋が起点となっていることも明らかとなっている。本研究ではこれらの背景に基づき、RANKエクソソームの性質をミミックし、骨芽細胞表面においてRANKLを架橋し、骨形成を促進すると同時に、破骨前駆細胞上のRANKとの結合を阻害して破骨細胞の形成を抑制する、バイファンクショナルな高分子の創製を目指す。初年度である平成26年度は、ナノ粒子のコア構造の合成を進めると共に、ランダムペプチドを提示するファージディスプレイ・ライブラリを用い、RANKL細胞外ドメインに選択的に結合するペプチドリガンドの取得を試みた。幾つかの候補ペプチドは取得できたものの、過去に報告されているペプチドのアフィニティを超えるものではなかったため、既知のW9あるいはOP3-4ペプチドもペプチドリガンドとして用いることとした。平成27年度は、W9ペプチドを用い、ナノ粒子化の検討を進めた。その結果意外なことに、W9ペプチドのN末端にビオチンを導入することで、未修飾のW9ペプチドと比較して数十倍に活性が増大することを見出した。ビオチンは脂溶性が比較的高く、W9ペプチドの自己会合を促進して、非共有結合的なナノ粒子の形成が生じていると考えられ、現在この点に関して最終確認を実施している。
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