2014 Fiscal Year Research-status Report
多層カーボンナノチューブブロックを用いたin vitroでの骨形成再現実験
Project/Area Number |
26670658
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田中 学 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (30723069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽二生 久夫 信州大学, 学術研究院医学系, 講師 (30252050)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ |
Outline of Annual Research Achievements |
整形外科分野や歯科口腔外科分野に用いる生体材料として,多層カーボンナノチューブ(MWCNT)は骨親和性が高いだけでなく,骨形成能促進作用を持つことが明らかになっている.本研究の目的は,MWCNTを単独で圧縮凝固させた新素材であるMWCNT blockをscaffoldに用いるために,in vivoおよびin vitroでの骨形成能への影響を評価することである. MWCNT blockにrecombinant human BMP-2 (rhBMP-2)を添加して,マウス背筋に埋植した.3週後にCT撮影と組織標本観察を行い,骨形成を確認した.また,培養細胞実験として,MWCNT block上(block群)とプラスチックプレート(control群)で線維芽細胞株V79および骨芽細胞様細胞株MC3T3-E1を培養し,細胞増殖試験を行うとともに,アクチンを蛍光染色して生体親和性を評価した. マウス背筋に埋植したrhBMP-2添加MWCNT blockのCT像および組織標本観察で,block周囲に異所性骨形成が認められた.培養細胞実験では,MWCNT block上でV79細胞に増殖促進効果がみられた.一方,MC3T3-E1細胞では有意な増殖促進効果はみられなかったが,block群でも細胞骨格であるアクチンフィラメントがcontrol群と同様,正常に形成された形で接着しており,良好な生体親和性を認めた. MWCNT blockは走査型電子顕微鏡で観察すると表面にナノサイズの凹凸を有しており,これが細胞の足場として有利に働いている可能性がある.今後,MWCNT blockの骨形成能への影響をさらに検証するとともに,細胞種により細胞増殖促進効果や生体親和性が異なるメカニズムを解明する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.マウス背部へのrhBMP/CNT block compositeの埋込実験:コントロール群と同様の異所性骨化がみられ、おおむね予想通りの結果であった。気孔率の高いCNT blockについては、現在サンプルを作成中で、近々検討予定である。 2.MWCNT blockによる骨芽細胞の骨形成促進実験 MWCNT block上でのMC3T3細胞の増殖は良好であった。ALP assayなど、骨形成能の試験は現在継続中である。 3.MWCNT blockの破骨細胞への影響 MWCNT block上で、破骨細胞前駆細胞のRAW細胞の増殖は良好であった。今後、分化状態についても検討を加える予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度実行できなかった分化状態の評価など、in vitroの実験を進め、骨形成能と細胞接着・増殖能を指標として評価する。当研究を論文化すると共に、各学会で発表し、成果を報告する。
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Causes of Carryover |
研究遂行上、リコンビナントヒトBMP-2(rh-BMP2 100ug)の購入が必要となったため、繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額とH27年度請求額を合わせて、rh-BMP2 100ugの購入に充てる予定である。
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